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結局、Jとブンデスは何が違うのか。
伝統、野心、ジェンダーまで影響?
text by
杉山孝Takashi Sugiyama
photograph byAFLO
posted2019/05/03 17:00
ブンデス2部の舞台でサポーターとともに“闘い”続ける酒井高徳。ハンブルガーSVは現在、昇格争いの渦中にいる。
土壌があるからこそ、地表で花が咲く。
1部と質の差はあると酒井は言うが、伝統は息づく。
どのチームも、GKは非常にハイレベルだ。サイズがあるのに俊敏で、なおかつ足元の技術も高い。キャッチからすかさず正確なパントやスローイングを繰り出し、カウンターの引き金を引く。
そして、野心。
前述のボーフムの試合で、決勝点を決めたのは韓国代表イ・チョンヨンだった。昨季までイングランドでプレミアリーグを戦っていた。成長、台頭、復権……。20年以上ドイツに住む元選手の日本人は、「1部に行けるかもしれないと夢見る選手は、年齢に関係なく、Jリーグ挑戦を選ぶかは分からないなあ」と話す。そんな養分たっぷりの土壌があるからこそ、1部リーグという地表に顔を出した花は美しく咲き誇る。
まだまだ遠いドイツの背中。
今回のドイツ訪問では、フリーランスの記者である2人の友人に会いそびれた。1人は、愛するケルンの取材日と日程が重なった。妻の出産まで数カ月を休みにあて、仕事に復帰したばかりなのだという。
長らくボーフムを見続けているもう1人とは、スタジアムで会えるはずだった。だが、「嫁さんが親友と出かけるから、子どもたちの面倒を見なきゃいけなくて。土曜ならスタジアムに連れていけたかもしれなかったけど……。6時半から夕食で、7時半には寝かせないといけないんだ!」
働き方改革、女性の社会進出……。絶対に正しい道の先にいるかは分からないが、ドイツの背中がまだまだ遠いことだけは、間違いなさそうだ。