球道雑記BACK NUMBER
ロッテ二遊間に漂う名コンビの予感。
中村奨吾と組む藤岡裕大の特別さ。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2019/04/19 11:00
二遊間でコンビを組む中村(左)とハイタッチを交わす藤岡(中)。昨季はルーキーながら開幕スタメン、全試合出場を果たした。
クルーズの穴を埋めたショート藤岡。
昨年まで千葉ロッテのスコアラーを務め、今年からチームの査定部へと回った石貫宏臣も、併殺数が増えた千葉ロッテの二遊間コンビについて次のように語っている。
「(ルイス・クルーズが抜けた後の)2016年、'17年はチームの併殺成功率が低迷しました。それが'18年になって上向きになった。これもショートに藤岡裕大が加わったことがやはり大きかったと思います」
藤岡の武器と言えば、肩の強さだ。高校時代は140km超の球を投げ、ピッチャーも務めていた。一塁に投げる際の力強い送球にその片鱗が見える。
藤岡自身もそれを自覚しているようで、話題を振ると彼はこんな言葉を返した。
「(一塁へ)強くボールを投げるのは意識しています。自分は肩が売りなので、他の人では刺せないと思えるものも刺せるようにしたいと思っています。その分、思い切り球を投げたいというのはもちろんあります」
軽快なステップと矢のような送球。
併殺とは異なるが、4月16日のZOZOマリンスタジアム(対福岡ソフトバンク戦)でも、その強肩を披露する場面が幾つか見られた。
中でも印象的だったのが9回表2死走者なし、完封勝利まで目前と迫った涌井秀章が最後の打者・牧原大成を三遊間寄りのゆるく高いバウンドのゴロに打ち取った場面である。
この打球をショートの藤岡が軽快なステップで捕球、素早く一塁へ矢のような送球を送って、無事、このゲームを締めた。
打球への入り方、捕球からスローまでの素早さと正確性、そしてなにより肩の強さが求められたこの場面で、藤岡は満点と言えるプレーでこれに応えた。これも彼の高いポテンシャルが成せた業だ。