球道雑記BACK NUMBER
ロッテ二遊間に漂う名コンビの予感。
中村奨吾と組む藤岡裕大の特別さ。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2019/04/19 11:00
二遊間でコンビを組む中村(左)とハイタッチを交わす藤岡(中)。昨季はルーキーながら開幕スタメン、全試合出場を果たした。
コンビ2年目、信頼感は増す。
中村奨吾とのコンビプレーに関しても、日に日に深まっていく円熟味に手応えを感じている。
「(昨年から)奨吾さんと二遊間をずっと組んでいるので、(併殺のとき)どこに投げてほしいんだろう、どういうトスをしてくるんだろうということはだいぶ分かってきました。自分も思い切ってベースに入って行けるようにもなりましたし、(トスで投げたボールが)引っかくのか、抜けるのか分からない選手が相手だとどうしても『どっちだろう?』と、考えながらベースに入ってしまう部分もあります。そこがなくなったのは大きいと思います。
奨吾さんだったら、『この辺に来るだろうな』って感じも分かりますし、強く(ベースに)向かって入って行けるのもあります。そこは併殺を狙う意味でもかなり大きいと思いますね」
コンビを組む中村奨吾も藤岡についてこう評す。
「昨年、(藤岡)裕大がずっと試合に出て、自分も試合に出させてもらって、そのコンビが変わらなかったのはやりやすい部分でしたし、良くなっている1つの要因ではあるかなって思います」
怪我で出遅れた藤岡、ライバルも多い。
ただ、今季の藤岡はキャンプイン前に膝裏の炎症が発覚し、キャンプ初日から1人、隣接した陸上競技場で別メニューを強いられるなど、順調なスタートではなかった。そこから徐々にピッチを上げ、開幕にはなんとか間に合わせた印象だが、自分のイメージとはどこかが違う体の動きに、まだ違和感を覚えることもあるようだ。
今季初めてスタメン落ちを経験した4月4日のメットライフドームの試合後、藤岡はこんな気持ちを吐露した。
「悔しいです。悔しいですけど、打ってなかったし、守れていなかったので、そこは自分に腹が立つだけですよね。できると思っていたことができないわけですから……相手もいることなので『しょうがない』。そこは割り切って行くしかないと思っています」
指揮官の想い、それに応えられない自分。重責に苛まれる彼の苦悩が感じ取れた。
千葉ロッテには伸びしろ十分な平沢大河がいる。安定した守備力と小技が利く三木亮がいる。指揮官とて彼らに平等に機会を与えようと考えれば、藤岡ばかり特別扱いするわけにはいかない。当然、苦渋の決断を下すこともあるだろう。