ビッグマッチ・インサイドBACK NUMBER
ユーベ相手に大健闘のアヤックス。
有望株とタディッチの融合で今が旬!
posted2019/04/11 17:50
text by
寺沢薫Kaoru Terasawa
photograph by
Getty Images
俺たちはレアル・マドリーに勝った。そんな自信が、チャンピオンズリーグ準々決勝ファーストレグでもアヤックスにはみなぎっていた。
正直、ジネディーヌ・ジダン監督の電撃復帰前夜で脆さを内包していたR・マドリーと、今季もセリエAで首位を独走するユベントスは違うと思っていた。より老獪で、したたかなユーベを相手にしたら、若いアヤックスは勢いを殺され、軽くいなされてしまうのではないか、と。
だが、それは杞憂に終わった。
欧州王者を倒して確固たる自信を得たアヤックスは、ユーベ相手にも堂々とボールを保持し、前からボールを奪いに行き、勇猛果敢に攻め続けた。
アヤックスに苦しめられたユーベ。
アヤックスを率いるエリク・テンハーフ監督は、2013年から'15年までバイエルンのリザーブチームで監督を務め、当時トップの監督だったペップ・グアルディオラの薫陶を受けた指導者だ。だから彼のチームも、ペップの香りがする。
前線の選手から積極的にフォアチェックをかけるし、ボールを取られたら即時奪回プレスを発動させ、奪い返したら細かいパスをつないで縦に速いショートカウンターを仕掛ける。ボールを保持すれば、中盤の若き司令塔フレンキー・デヨングを中心にして軽快にボールを回し、両ワイドのダビド・ネレス、ハキム・ツィエクへとつなげて攻撃の糸口を探っていく。
そんなモダン・フットボールの雰囲気だ。
ユベントスは、序盤からアヤックスのコンパクトで素早いプレスに、そしてハイテンポのパスワークで攻め入ってくる様に、明らかなストレスを感じていた。激しいプレッシャーにさらされる中で、ボールを長く蹴るか、つなぐかの意思疎通も選手間で統一できなかった印象で、それがアヤックスの攻勢につながった。
それでも前半終了間際にアヤックス守備陣の一瞬の隙を突いてクリスティアーノ・ロナウドのダイビングヘッドで先制したのはさすがだったが、このシーン以外にほとんど決定機は作れなかった。