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藤沢和雄、ぶっつけで桜花賞2勝目。
グランアレグリアと20年前の記憶。
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph byKyodo News
posted2019/04/09 07:30
中111日という異例のローテでも強さを見せつけたグランアレグリア。藤沢師のプランは成功した。
4コーナー手前で一気に先頭へ。
序盤は好位に控えたグランアレグリア。前後半の3、4ハロンが35秒4-47秒7→45秒0-33秒3。上がりの方が速いスローペースに、グランアレグリアはやや行きたがる素振りを見せた。
しかし、それはダノンファンタジーも同じだった。グランアレグリアのすぐ後ろという好位置をキープしながらも何度も頭をあげて掛かる素振りを見せた。
3~4コーナーで「これ以上、我慢ならん!」とばかりに上がって行ったのがグランアレグリア。4コーナー手前では一気に先頭に立って自ら後続を引っ張る態勢を作った。
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ちなみにラスト600mから400mの地点のレースラップは10秒8。先頭に立った後はグランアレグリアが作った時計だが、ラスト600m地点ではまだ先頭に立っていなかったのだから、彼女はこれ以上に速いラップでこの地点を走り抜けたことが分かる。
それもかなり馬群の外を回り、直線では逆にインへ持って行くという、つまりロスがありながらこのラップを刻んだということだ。
ダンスインザムード以来の制覇。
阪神競馬場の最後の直線は476.3mと長く、しかも急勾配の上り坂が用意されている。あれだけ早目にスパートするようなラップをマークすれば普通は止まってもおかしくないのだが、グランアレグリアにそんな様子は見られない。
むしろ、離されまいと追走していったダノンファンタジーの方が一杯になったため、後方に控えていたシゲルピンクダイヤとクロノジェネシスが急追し、わずかに捉えたところがゴール。その時、グランアレグリアはシゲルピンクダイヤの2馬身半前方、1分32秒7の桜花賞レコードでゴールを駆け抜けていた。
藤沢和雄調教師としてはこれが'04年のダンスインザムード以来、2度目の桜の戴冠となった。一昨年の'17年にはグランアレグリア同様、クリストフ・ルメール騎手を背にしたソウルスターリングで臨んだ。同馬は単勝1.4倍の圧倒的1番人気に支持されたが3着に敗れた。同じコンビでの優勝劇に、当時の悔しい思いは少しでも晴れただろうか……。