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藤沢和雄、ぶっつけで桜花賞2勝目。
グランアレグリアと20年前の記憶。 

text by

平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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photograph byKyodo News

posted2019/04/09 07:30

藤沢和雄、ぶっつけで桜花賞2勝目。グランアレグリアと20年前の記憶。<Number Web> photograph by Kyodo News

中111日という異例のローテでも強さを見せつけたグランアレグリア。藤沢師のプランは成功した。

思い出すのは名牝スティンガー。

 そして、それ以上に思い起こされる出来事が1つある。

 今回のグランアレグリアは先述した通り、休み明けという臨戦過程だった。オールドファンならスティンガーという名牝を覚えているのではないだろうか?

 1998年、今でいう2歳の11月にデビューした彼女は、その新馬戦を快勝。中2週で臨んだ赤松賞を連勝すると、連闘でGI・阪神3歳牝馬S(現在の阪神ジュベナイルフィリーズ)に挑戦する。

 するとここもあっさりと優勝し、デビューから1カ月経たずにGIホースへと上り詰めた。

 そんな彼女を、当時まだ47歳だった若き伯楽はぶっつけで桜花賞に出走させた。当時、師は前哨戦を使わずに出走させた理由を次のように語っていた。

「2歳時にわずか1カ月足らずの間に3回も使い、最後はGIを勝つほど頑張って走ってくれました。桜花賞を使う前にひと叩きしようとすれば、全く休ませてあげることができなくなります」

 それは可哀そうと続いた言葉の行間に、何よりも末永く走れる馬を壊してしまいかねないと言う心情が見え隠れしていた。

桜花賞での惨敗に批判の声が。

 しかし、桜花賞の結果は芳しくなかった。スタートで後手を踏むと12着に惨敗。1番人気を裏切る結果に、レース後、批判の声が相次いだ。

 その後のスティンガーは京都牝馬S(GIII)を優勝したほかに、牡馬相手の京王杯スプリングC(GII)連覇など21戦して7勝と、6歳春まで息長く活躍した。

 桜花賞こそ敗れたが、若い時期に使い詰めでいっていたら、これだけ長く一線級で活躍することはできなかったかもしれない。

【次ページ】 奇をてらって挑ませたのではない。

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