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2019年F1開幕! 勢力図が大変化。
ホンダの供給先と逆襲のフェラーリ。
posted2019/03/14 11:30
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
AFLO
いよいよ今週末、F1の新シーズンがオーストラリア・メルボルンで開幕する。
2019年のF1には、昨年までと異なる点がいくつかある。
日本人が注目している最も大きな変化が、ホンダだろう。昨年、パワーユニット(PU)の供給先チームがマクラーレンからトロロッソに変わったホンダは、今年からトロロッソに加え、もう1チーム供給先を増やした。新しくパートナーを組むのは、レッドブル。'10年から4連覇を達成し、現在のF1でもメルセデス、フェラーリと並んでトップ3チームの一角を占める強豪だ。
F1に復帰して5年目のホンダPUは、かつてないほど素晴らしい仕上がりをプレシーズンテストで披露した。
これまでのホンダは信頼性に泣かされ、思うように走り込みができないままシーズンに突入することが少なくなかった。それが今年のテストでは、復帰後初となる2チーム供給にもかかわらず、目立ったトラブルを発生させることもなくプログラムを順調に消化。チームから「エンジンに関しては完璧だった」と賞賛された。
テスト後、レッドブル首脳のひとり、ヘルムート・マルコは'19年の目標を「優勝することはもちろん、最低でも5勝は挙げたい」と宣言。実現すれば、ホンダにとって'06年以来、13年ぶりの優勝となる。
フロントウイングに大きな違い。
もうひとつ注目されている変化が、近年メルセデスが席巻してきたF1の勢力図だ。
今年のF1ではオーバーテイクを促進させるためにレギュレーション(規則)が変更され、車体の寸法がいくつか変わった。最も大きな違いはフロントウイングだ。
昨年までのマシンは、フロントウイングの両サイドに当たった空気をフロントタイヤの外側へ流すことによって、フロントタイヤ周辺で発生している乱気流を吹き飛ばして車体に流れる空気を整え、ダウンフォースを獲得していた。
だが、タイヤの乱流が後方へ吹き飛ばされると、後ろを走るマシンはなかなか前車に接近できない。結果、レースの大きな見どころであるはずのオーバーテイクが困難になるという影響を及ぼしていた。
そこで国際自動車連盟(FIA)は、フロントウイングの幅をより広くし、これまでウイングの両端に付けられていた細かなパーツの装着も禁止。乱れた空気から後続車を守り、前車に接近しやすくすることを目論んだ。