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ホンダのF1技術、ついに開花す!
今季開幕戦で11年ぶりの表彰台。
posted2019/03/18 11:30
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Kyodo News
レースデーの日曜日のメルボルン、アルバートパーク・サーキットに、本田技研工業の八郷隆弘社長が、倉石誠司副社長、本田技術研究所の次期社長となる三部敏宏副社長とともに、激励に駆けつけた。
レース前に「順調か?」と、八郷社長に質問された田辺豊治F1テクニカルディレクターは「順調です」と答えると、レースに向けて「よろしく」と、八郷社長から励ましの言葉をもらった。
レッドブルという強豪チームと組んだホンダには、今年多くの期待がかかっていた。レッドブルは2010年から4連覇を果たした実績があり、昨年も4勝を挙げている。そのレッドブルと組んで迎えた開幕戦で、レッドブル・ホンダは、マックス・フェルスタッペンが予選でいきなりホンダのF1復帰後、最高位となる予選4位を獲得した。
フェルスタッペンは昨年、21戦中11回表彰台に上がったトップドライバー。2列目からスタートなら、3位を十分狙えると考えるのは当然だ。
だがホンダにとっては、それはプレッシャーでもあった。なぜなら、復帰後、ホンダは表彰台を獲得したことはなかったからだ。
ホンダが表彰台に上がったのは、雨が降って混乱する中、見事なタイヤ戦略でルーベンス・バリチェロが3位に食い込んだ2008年のイギリスGPが最後。もう……11年も前のことだ。不安になるのも当然だった。
フェラーリの背中が見えた……。
そんなホンダの不安をよそに、予選4位からスタートしたフェルスタッペンは、序盤から表彰台が狙えるポジションでレースを進める。
チャンスが訪れたのは、ピットストップの直後だった。
目の前にペースが上がらずに苦しむフェラーリのセバスチャン・ベッテルが迫ってきた。