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<車いすテニス、キングの矜持>
国枝慎吾「最後は“欲”の強いヤツが勝つんです」
text by

秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph byAFLO
posted2016/01/07 06:00

2015年の全仏では、ダブルスで自身初となるグランドスラム4大会連続優勝を果たした。
国枝慎吾は負けたことがニュースになる数少ないアスリートの1人だ。'15年12月、シーズン最終戦のNECマスターズ1次リーグでヨアキム・ジェラールに敗れ、2014年1月から続いた連勝が77で止まった。
「まあ、順当な結果かなと。優勝できるだけのコンディションになっていなかったので、覚悟していた部分もありました。メンタル面での駆け引きではこちらに分があるので、いけるかなとは思っていたのですが、それだけではごまかしきれなかった」
11月に腰を痛め、調整不足で臨んだ大会だった。過去10戦全勝の相手に1次リーグ、決勝と連敗し、4連覇を逃した。シングルスでは約2年ぶりの敗戦だったが、ショックは「思ったほどではなかった」という。
「たった1大会やられただけという気持ちはあるし、トータルで見れば、グランドスラムのシングルスは全部取っているし、十分満足のいく1年だったと思います」
'15年は四大大会のうち車いすのシングルスを開催する全豪、全仏、全米を'14年に続いて全制覇した。ただ、いかに常勝・国枝でも、悪い条件がそろえば負ける。
「勝ち続けるのはもちろん目標ではありますが、たまにこういうのを食らうと、より駆り立てられるっていうのもあるんです。ごくまれに味わう負けも、エネルギーを与えてくれるきっかけにしなきゃいけないし、実際、そうなると思います」
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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