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『オリンピック秘史 120年の覇権と利権』オリンピックに蔓延るパワーゲームの論理。 

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武田砂鉄

武田砂鉄Satetsu Takeda

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posted2018/03/06 07:00

『オリンピック秘史 120年の覇権と利権』オリンピックに蔓延るパワーゲームの論理。<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

『オリンピック秘史 120年の覇権と利権』ジュールズ・ボイコフ著 中島由華訳 早川書房 2200円+税

 テレビをつけると、金メダルを獲得した演技の模様が放送されている。実にめでたい。ただ、個々の鍛錬を急いで借りるようにして喜ぶことに、躊躇いの気持ちは残る。繰り返し、金メダルを獲得した演技が放送される。ここでようやくCM。CM明けに流されるのは、金メダルを獲得した演技の模様だ。さすがにうなだれる。「もういいよ」とキレ気味にチャンネルを変えれば、金メダルを獲得した演技の模様が放送されている……。

 本書の内容は、『POWER GAMES』との原題が端的に言い表している。近代オリンピックが始まってから120年、「アマチュアリズム」なる言葉を頭に残している視聴者はほとんどいないだろう。むしろ頷くのは、「最高の選手たちの集う祭典であると同時に、企業から大金の流れこむ祭典でもある」という、当たり前の指摘だ。

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