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酒井高徳は「重要すぎる選手」。
新システムの中心に選ばれた理由。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2019/02/19 10:30
日本代表時代、ボランチを務めたこともある酒井高徳。マルチロールな能力が28歳にして開花し始めた。
「6番」もできるサイドバック。
「『6番のポジション』でもプレーできるサイドバック」として真っ先に思い浮かぶのは、グアルディオラがバイエルンを指揮した頃のアラバであり、ラームだろう。攻撃時にボランチやインサイドハーフのような役割を果たす選手を「偽のサイドバック」と表現するが、その動きには明確な狙いがあった。
まずパスコースを増やし、前のウイングが仕掛けやすい状況を作ること。さらに、セカンドボールを拾ったり、相手ボールになった瞬間に素早く奪い返すこと。これがサイドから内側のレーンに入っていく理由だ。
ハンブルガーはヴォルフ監督が就任して以降、右サイドバックの酒井と左サイドバックのサントスが、このポジションを取るようになった。どんなことを考えながらプレーしているのかと聞くと、酒井はこう語った。
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「自分のようなサイドバックが内側に入った時、単純にとどまってボランチの役割をするだけでは中の攻撃が渋滞してしまいます。だから、オレがよくやるのは(マークしてくることの多い)相手サイドハーフを見ながらポジションを取っています」
相手サイドハーフに上手く対応。
ハンブルガーの基本フォーメーションは、数字で表わすと4-3-3のような形である。その場合、酒井がマッチアップする機会が多くなるのはサイドハーフである。
対峙するサイドハーフは、大きく分けて3パターンあると酒井は考えている。
1.本来のスタートポジションである、サイドに開いた状態からケアするタイプ
2.守備で手を抜いて、マイボールになった時のことを考えてポジショニングをとるタイプ
3.低めにポジションを取り、酒井の動きに合わせて守ろうとするタイプ
「相手のタイプを把握して、それに合わせて自分が上手くポジションを取る。それができれば、相手DFラインの裏やワイドのポジションが空くし、味方がオレに対しても楽にパスを出せるようになるんです」
2部に降格したばかりのハンブルガーの目標は、1年での1部復帰だ。クラブ幹部が「来季も2部で戦うことになれば、今いる選手たちをとどめておけない」と語るように、予算的には2部のレベルをはるかにしのぐ陣容で戦っている。