球道雑記BACK NUMBER
ロッテ有吉優樹の探究心が濃すぎる。
トレイルラン、地球の自転を勉強。
posted2019/02/17 09:00
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
Kyodo News
「カーブ、進化したので捕れないかもしれないですよ」
そう言って彼はにやりと笑った。
「おーっ、良い球、良い進化だぁ」
「3年目にして、ようやくできましたよ」
「使える。使えるよ!」
千葉ロッテ・有吉優樹は、ブルペン捕手の味園博和とそんな会話を交わすと、自身でも進化したその球種の手応えに「うんうん」と頷き、次の間合いに入っていった。
石垣島春季キャンプを約1週間後に控えた1月下旬。有吉はこのオフの自分の成長を確かめるように、ロッテ浦和球場のブルペンでこの日、50球ほど投げ込んだ。
ストレートは内、外角を指定して、ボールのキレとラインを確認。そのボールがほんの少し自分のイメージから外れると「そうね、まだその程度ね」とつぶやきながら、現状の体の状態、使い方をしっかりとチェック。修正ポイントも理解しているその様子で、見ているこちら側に頼もしさを感じさせた。
2シーズン戦えたという自信。
社会人野球の九州三菱自動車から入団して今年でプロ3年目を迎える。
昨年は交流戦が始まった5月29日の登板を境に中継ぎから先発に配置転換、そこからの約4カ月半で6勝を挙げるなど、シーズン後半戦は先発陣の柱としても活躍した。
安定感で言えば、チーム内でも5本の指に入るほど計算ができるピッチャー。涌井秀章、石川歩、ボルシンガーと続いた昨年までの先発陣の序列を一変させるだけの実績をこの2年間で積んできた。もちろん今年の千葉ロッテの浮沈のカギを握る1人であることは言うまでもない。
「1年目から中継ぎとして1年間一軍で投げさせてもらって(53試合に登板。防御率2.87で18ホールドポイント)、2年目は途中から立場が変わりましたけど、中継ぎと先発でシーズン中ずっと戦えました。プロ入りから2年間、上でずっと戦えたという点に関しては大きかったですし、2年間やれたことで、体力的な成長が特にプラスになっているんじゃないかなって自分では思いますね」