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「相撲取りにSNSなんていらない」
稀勢の里が明かす、理想の力士像。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byTakashi Shimizu/JMPA
posted2019/02/14 11:10
初場所中の1月16日、引退を発表した稀勢の里。「土俵人生において、一片の悔いもございません」との言葉を残した。
「昭和の香りがする力士を育てたい」
そして、引退して、年寄「荒磯」となったこれからも歩む道は一本であるという。
「やはり、この時代にちょんまげを結い、着物を着ている。相撲には神秘的な魅力がある。だから力士たちには他のスポーツとの違い、伝統文化ならではの敷居の高さを保ってほしい。ツイッターとかSNS(会員制交流サイト)を力士がやる意味が全く分からないし、ちゃらちゃらしたところは一切見せるものではない。
本当のファンががっかりするだろうし、敷居が下がると相撲を見たいと思ってくれる人も少なくなる。自分の場合は余計なことを言わず、黙々と相撲を取っていても人気が出るという昭和の香りがする力士を育てたいと思っている」
インタビューを聞いて、おぼろげにわかったことがある。この人はきっと寡黙なのではない。黙して語ってきたのだ。
誰もが思ったことを、その瞬間、デジタル上で世界中に打ち明けることのできる現代において、胸に秘め、耐え忍ぶことの美しさを知っているのだ。
日本人が失いつつある、それでも失くしてはいけないと深層心理で感じているもの。それを体現してきた横綱だったのだ。
Number972号「横綱論。さらば、稀勢の里」では、稀勢の里が独占ロングインタビューの中で、涙と歓喜の相撲人生を語っています。
他にも、大鵬、北の湖、千代の富士、貴乃花、若乃花、武蔵丸、朝青龍、白鵬、日馬富士ら歴代横綱が抱くそれぞれの横綱像についての記事も掲載しています。
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