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「相撲取りにSNSなんていらない」
稀勢の里が明かす、理想の力士像。
posted2019/02/14 11:10
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Takashi Shimizu/JMPA
あの稀勢の里が「Number」のインタビューに答えた。
場所中でもほとんど口を開かなかったという。横綱になって初めて迎えた2017年3月場所では、無敗で迎えた13日目、日馬富士戦で左大胸筋を断裂する重傷を負いながら、その後も強行出場し、千秋楽で逆転優勝。力士としての絶頂と、相撲人生を断つほどの悲劇を同じ一瞬に味わった。言葉ではなく、その壮絶な土俵姿と涙で生き様を表現してきた、あの第72代横綱が、胸の内を語ったのだ。
9ページにわたるロングインタビューは現在発売中のNumber972号「横綱論」でお読みいただきたいが、取材前に抱いていたイメージは、ある意味そのままで、ある意味では裏切られた。
弱音は吐かないが、寡黙ではない。
周りから力士生命を絶ったと言われている左胸について話が及ぶと、そっと弱みを隠した。
「今更、言うことではないです。生活できているわけですから」
弱音は吐かない。ただ、決して寡黙ではなかった。怪我や痛み、横綱の引き際に対して、自身が悩みの中から導き出してきた考えに関しては、はっきりとした口調で明かした。
例えば痛みについて。
「かなり厳しく鍛えられたけど、もう一丁、もう一丁みたいな。小さい頃、よくプロレスを見ていて、受けの美学というか、そういうものがあった。相撲界に入ると、誰でもまず当て身が怖いと言われるけど、その怖さがなかった。痛みに対しての怖さがなかったんです」
この後も故・先代鳴戸親方について、長かった大関時代について、そして、角界の頂点に立ってからについて、独自の「横綱論」は続いた。
そうした知られざる胸中を聞いていると、あの3月場所、左腕は使えなくなっても出場し、照ノ富士を投げ飛ばせた理由がだんだん見えてきた。