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菊池雄星が自主トレに連れて行った
3人の後輩に伝授した「成長の方法」。
 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byKyodo News

posted2019/02/13 08:00

菊池雄星が自主トレに連れて行った3人の後輩に伝授した「成長の方法」。<Number Web> photograph by Kyodo News

メジャーをずっと意識してきた菊池雄星の練習方法は日本の常識とは一線を画している。

後輩の引退が菊池の考え方を変えた。

 今回の自主トレには、以前から一緒にトレーニングしている佐野泰雄のほかに、高卒5年目のシーズンになる高橋光成、石垣島出身で高卒2年目の平良海馬が参加した。

「清水さんとトレーニングを初めてやったときは、びっくりしました。それまでは、何のためにウェイトトレーニングをするのかがわかっていなかったから。ただ重たいものを持ち上げているだけだったんです。

 佐野や光成にも、このキャンプが始まる前に言ったんです。この2、3週間で劇的に変わることはない。一番大事なことは、マインドを変えることだ。そこに気づけば、成長できるから、って」

 メジャーリーグに挑戦する菊池にはいばらの道が待っている。

 それは菊池が長く望んでいたことで、レベルの高い舞台での成功も失敗も、彼には成長のための重要なファクターとなっていくだろう。

 同時に、育ててくれた日本の力になることも彼にとっては大切なことだ。佐野や高橋光、平良が何を感じたかはまだわからないが、考える機会を与えたのは、菊池なりの野球への、そして西武への恩返しとも言える。

「佐野は彼が1年目から一緒にやっていますけど、今まではフォームに介入したことはなかったんです。投球フォームは自分で考えて作るものと思っていたので、聞かれたことに関しては答えていましたけど、自分からは何かを言ったことはなくて、一緒のメニューをやっているだけでした。

 でも、今年からは少し変えました。後輩の佐藤勇が2017年限りで引退することになって後悔したんです。勇とはずっと一緒に自主トレをしていたんですけど、何も言わなかった。僕が言ったからといって活躍していたかどうかはわかりませんけど、積極的に喋らないといけないなと思ったんです」

菊池が珍しく声を荒げることも。

 キャンプ中、菊池が少し声を荒げる場面があった。

 ウェイトトレーニングでは様々なメニューをひとりひとりがこなしていくが、彼らの姿勢に甘さを感じたからだった。

「みんなどんな気持ちでやってる? 俺は、ウェイトを持ち上げる時、ここがマウンドだと思って向き合っているのね。これを持ち上げなければ、試合に負けるって。いい選手って近寄れないんだよね。ピッチングをしていても、トレーニングをしていても触れられない。

 でも、みんなは、フワフワしている。重量が重いものをあげているからとかそういう問題じゃない。人が近づけないくらいトレーニングに入りきる習慣をつけていないと、チームに戻れば流されてしまうことだってある。自分の世界に入ることを意識しながらやってほしい」

【次ページ】 2、3週間で野球が上手くはならない。

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