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菊池雄星が自主トレに連れて行った
3人の後輩に伝授した「成長の方法」。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2019/02/13 08:00
メジャーをずっと意識してきた菊池雄星の練習方法は日本の常識とは一線を画している。
「僕は変わることができました」
菊池がパーソナル契約を交わしている清水忍トレーナーの指導のもと、3勤1休の内容の濃い自主トレだった。
「僕がやってきたことが正しいと言いたいわけでは無いんですけど、僕が5年目くらいの時に清水さんとのトレーニングが本格的になっていきました。そのタイミングで土肥義弘さんがピッチングコーチに就任されて、僕は変わることができました。きっかけをつかまないといい方向に行く分岐点は生まれないので、その機会になればなと」
菊池はこの自主トレで、メジャーデビューへ向けてコンディションを上げることと同時に、後輩たちにもトレーニングの重要性を感じ、パフォーマンスを上げてほしいと考えていた。
菊池はプロに入ってからのキャリアの中で、様々なトレーニングを体験してきた。
初動負荷をはじめ、体幹、ヨガ、ピラティス、バランスなどだ。知識欲の高い性格の持ち主で、人づての言葉では納得しきれず、多種多様なトレーニングに自ら触れてきた。
自分の「知りたがり」の性格を受け入れる。
それ以前からメンタルトレーナーともパーソナル契約を交わすなど、自分に合ったものを整理してきたという過去が彼にはあるのだ。
「本当に、どれに重きを置いていたと言うのはなくて、評判の良いものに手を出してきました。知りたい欲が強いので、どうしてもやってみたくなるんですよね。昔は、そういう性格が頭でっかちだと言われたりしましたけど、今はメンタルトレーニングを通して、自分は知りたがりの性格だと受け入れられたので、バランスをとりながらですけど、取り組んでいます」
菊池にとってメンタルトレーナーである山家正尚氏との出会いは大きい。思考を整理できたという自負が、彼の中にはある。
「最初から言われてきたのはずっと同じことなんですけど、なかなか僕自身が山家先生の思うことをできなくて、自分自身の現状に蓋をしてしまうことがありました。ここ3、4年、結婚したころくらいからようやくわかってきた」
菊池の成績を見れば言わずもがなだが、年月をかけて菊池の取り組みが整理されていっての成長がある。そして今は、自分が積み重ねたノウハウを次世代へ伝達することにも力を入れている。