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2019年、メジャーが欧州初進出。
「世界戦略」は100年以上前から。
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph byGetty Images
posted2019/01/06 09:00
昨年11月にロンドン視察を行なったA・ロッド。「雰囲気は本当に良かった」と期待感を口にした。
インドのクリケット選手と契約。
2008年11月には、パイレーツが野球未開の国・インドでクリケットの選手として活躍していた2選手と、史上初めてマイナー契約を交わしたことが、話題になった。当然のことながら、いずれも野球選手として未知数だった。
だが、野球の原型とも言われるクリケットに熟練し、身体能力が高いことからスカウト陣が推薦。過去の既成概念に捕らわれることなく、新天地に活路を探そうとした。最終的に両選手ともメジャー昇格は果たせなかったものの、その後、実話をもとに『ミリオンダラー・アーム』のタイトルで映画化されるほど、画期的な出来事となった。
求めていたのは、目の前や身近な結果ではなく、秘められた可能性だったのだろう。
門戸を広げる懐の広さ。
プロ野球は、シビアな勝敗を競うスポーツであると同時に、興行的な意味合いを含めたエンターテインメントの側面があることも否定できない。ただ、今日、明日のチケット売り上げ高に左右されているようでは、なんとも心許ない。
身体能力やレベルの違いだけでなく、門戸を広げる姿勢、伸びゆく可能性を消さないスタンス、そこにメジャーの懐の深さがあるような気がしてならない。
今から140年以上前、米国人選手が日本を訪れた当時、米国で日本人がプレーすることを誰がイメージしただろうか。体格、技術レベルで、大きな隔たりがあったことは言うまでもない。だが、今や日本人選手がメジャーを目指すことは、ごく自然で、当たり前の時代になった。
今後、欧州をはじめ他国への戦略が、どのように拡大するかは分からない。ただ、数十年後、英国だけでなく、フランス、スペインなど、欧州出身のメジャーリーガーが活躍する光景が、当然のようになっても、おそらく不思議ではない。