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2019年、メジャーが欧州初進出。
「世界戦略」は100年以上前から。
posted2019/01/06 09:00
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Getty Images
1876年に発足したメジャーリーグは、今後、どこへ向かい、どんな発展を遂げていくのだろうか。
過去「ブラック・ソックス」などの八百長事件、ストライキ、ステロイド時代など数々の事件を経験してきたものの、それらの困難期を乗り越え、近年は順調に、人気、ビジネス面でも活況を呈してきた。それだけに、過去の成功にあぐらをかくことなく、ファンや市場拡大への気概は失っていない。
2019年は、日本で公式戦開幕となる「アスレチックスvs.マリナーズ」を2試合実施するだけでなく、6月29、30日には、英国の首都ロンドンで欧州初となる公式戦「レッドソックスvs.ヤンキース」の2試合を実施することが決定している。
つまり、MLB首脳陣、米球界は国内だけに、目を向けているわけではない。
とりわけ、欧州への初進出は、MLBにとって歴史的なターニングポイントになる可能性を含んでいる。
世界戦略を推進してきた歴史。
近代野球の黎明期だった1908年(明治41年)、米国球界は、当時「Far East(極東)」と言われた日本に選手を派遣し、日米野球を開催した。その当時、米球界側にどんな思惑があったかは定かではない。
ただ、その後、日本遠征を繰り返すことで、米国のベースボールが広まり、結果的に日本独自の野球文化が成熟していていったことは、今さら史実を振り返る必要もない。
昭和の時代に入っても、メジャーリーグは、日本をはじめ海外への視点を絶やすことなく、維持し続けてきた。各球団がドミニカ共和国やベネズエラに若手育成の機関として専属のアカデミーを設置するなど、早い時期から「世界戦略」を推進してきた。
確かに、ビジネス面での意図はあったのかもしれない。だが、特に当時の米国とは経済レベルに大きな隔たりのあった中南米諸国の未整備な野球市場に対し、一定の投資を継続し続けた事実は、単なる損得だけでは計れないのではないだろうか。