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牡馬に挑んだグランアレグリアに、
藤沢調教師が見出す「光るモノ」。 

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平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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photograph bySatoshi Hiramatsu

posted2018/12/21 07:00

牡馬に挑んだグランアレグリアに、藤沢調教師が見出す「光るモノ」。<Number Web> photograph by Satoshi Hiramatsu

朝日杯のパドックにて、藤沢調教師(右)とグランアレグリア。

前日オッズは“やり過ぎ”。

 前日発売の時点で同様のオッズを示していたこともあり、藤沢調教師は顔をしかめつつ言った。

「ほとんどが初めて戦う相手だし、GIだというのに1.何倍は“やり過ぎ”じゃないかい?」

“やり過ぎ”とはつまり“売れ過ぎ”という意味合いだったのだろう。未確定要素が多い事を思えば、これだけ注目を浴びることにプレッシャーを感じていたとも思える発言。そう思い、直接的に伺うと、それは笑って否定した。

「走るのは馬だからね。私が緊張しても仕方ないでしょう」

 本心はどうか分からないが、多彩な語彙で、なめらかにしゃべる様子はいつも通り。確かに過度なプレッシャーを感じているようには感じられなかった。

「入厩後に凄いな、って」

 その上で改めてグランアレグリアがどんな馬なのかを問うと、次のように答えた。

「入厩前の牧場時代もみているけど、その時点ではどのくらい走るのか見当はつかなかったよね。凄いなって思ったのは入厩した後。調教で動かしたら楽に動く。最近ではソウルスターリング(2016年に阪神ジュベナイルフィリーズ勝ち、翌2017年にはオークス制覇)もそうだったけど、やはりこのレベルの馬は最初から少し違う。チャンピオンになれるという光るモノが初めからありましたね」

 こうして38年ぶりとなる牝馬の朝日杯フューチュリティS勝ちを目指したグランアレグリア。前走比+6kgの482kgでファンの前に姿を現した。

 6月のデビュー戦が458kgだから当時と比べると+24kg。2歳や3歳春くらいまでの牝馬が関東から関西に輸送されればマイナス体重となるのが普通で、それを考慮すればこの体重はむしろ好材料。成長が感じられた。

 牡馬勢に迷惑にならないように、最後入れとなったパドックでは、少々気合いが乗る素振り。見方によっては少しイレ込んでいるかとも見えた。

【次ページ】 粘ったものの3着敗戦。

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グランアレグリア
藤沢和雄

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