酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
野球殿堂を球団別で作るという提案。
掛布や桑田の名前を残すためにも。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2018/12/16 11:30
二軍監督時代も、掛布はいつだって人気者だった。球団にとって特別な選手、というのはいるものだ。
巨人にも実は候補が大勢いる。
もう一球団挙げよう。巨人だ。
川上哲治、長嶋茂雄、王貞治など綺羅星のごとき殿堂入り選手がいるが、実はV9戦士のほとんどが殿堂入りしていない。
城之内邦雄、宮田征典、柴田勲、高田繁、土井正三、末次利光、高橋一三。
まさに空前の黄金期を築き上げた選手たち。ONの陰に隠れてはいるが、球史に残る功績を残した顔ぶれだ。さらには以後もこんな顔ぶれがいる。
中畑清、松本匡史、西本聖、角盈男、槙原寛己、桑田真澄、ウォーレン・クロマティ。
江川卓を入れるかどうか、議論が巻き起こっても良いかもしれない。
西武の本拠地にかかる稲尾和久の看板。
各球団では毎年11月に本拠地でファン感謝デーを行っている。そのときまでに、球団がエントリーリストを発表し、ファンに投票してもらう。そして当選者の表彰を感謝デーの中で行えばいいと思う。
本拠地球場のエントランスなどに「チームの殿堂入り選手」の銘板を並べれば、ファンも大いに関心を示すのではないか。
MLBでは複数の球団で殿堂入りする野球人もいる。NPBでも、ヤクルトと日本ハムで活躍した稲葉篤紀や、西武と中日で活躍した和田一浩、西武とロッテで投げている涌井秀章など、そうなる可能性があるだろう。
私は西武ライオンズの本拠地、メットライフドームに行くたびに、ドームの一塁側の上段を見上げる。そこにはスポンサーの広告に混じって「24稲尾和久」の看板が掲げられている。
2013年、前年に稲尾和久氏の生誕75周年のセレモニーを球場で行ったことをきっかけに、この看板が設置されたのだという。
稲尾氏は西武ライオンズの前身の西鉄ライオンズでシーズン42勝という空前の大記録を樹立した。しかし埼玉ではプレーしたことはない。そして2007年には死去しているからこの看板を見ることはなかった。
若いファンの中には「あの看板は何?」と思う人もいるだろう。また年配のファンの中には「そういやライオンズは昔、福岡にあったんだよな」と思い返すかもしれない。
西武ライオンズは本当に意義深いことをしたと思う。球場に来るファンは応援も結構だが、こういう形で好きなチームの歴史にふれても良いのではないか。