酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
野球殿堂を球団別で作るという提案。
掛布や桑田の名前を残すためにも。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2018/12/16 11:30
二軍監督時代も、掛布はいつだって人気者だった。球団にとって特別な選手、というのはいるものだ。
野球好きと歴史好きは同じでは?
私は「野球好き」と「歴史好き」は、ほとんど同じだと思っている。本当の野球好きは、今の野球ももちろん好きだが、昔起こったあれこれや、すでに引退した選手について語るのが大好きだ。その点「維新の三傑」だの、織田だ豊臣だ徳川だ、と大昔のことで議論する歴史好きとほとんど変わらない。
もし各球団の殿堂が制定されて、その投票をファンが行うとなったら、各球団の本拠地周辺では、毎夜激論が繰り広げられるのではないか?
「いや、わしゃ達川が殿堂入りすべきじゃ言いよるじゃろう?」「その前に、高橋慶彦が先だろうが」
「川藤を入れたってくれ、あいつはええやつやねん」「ええやつや言いだしたら切りがない。平田もええ奴やった」
「投手では斉藤和巳は、外しぇんやろう」「いや、うちゃ好きやなか、やっぱり若田部がよか!」
日本中の酒場で、いい歳した大人が、口角泡を飛ばして議論する光景が目に浮かんでくる。
おらがチームの野球殿堂入りの議論は、酒の味をぐっと旨くするのではないか。
大して金もかからないファンサービスである。しかも殿堂入りした野球人は「○○球団殿堂入り」と肩書が1つ増えて、テレビ出演のギャラや講演料も上がろうというものだ。
できれば球団が音頭をとって、この企画を進めてくれないか。