酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
野球殿堂を球団別で作るという提案。
掛布や桑田の名前を残すためにも。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2018/12/16 11:30
二軍監督時代も、掛布はいつだって人気者だった。球団にとって特別な選手、というのはいるものだ。
では、掛布を称えなくていいのか。
では掛布雅之は、表彰されないままなのか?
1985年の阪神優勝の立役者、「か・け・ふ、か・け・ふ」という掛布コールで日本野球の応援のスタイルも変えたミスター・タイガースは、消え去るのみなのか?
私はそうは思わない。そういう「忘れ難い名選手」のために、各球団は「球団別の野球殿堂」を創設するのがいいと思うのだ。
MLBではほとんどの球団が、独自に野球殿堂を設立している。
例えばボストン・レッドソックスは、20歳で史上最年少の本塁打王に輝きながら死球によって選手生命を縮め、30歳で引退を余儀なくされたトニー・コニグリアロをチームの殿堂入り選手に選んでいる。また、日本の東映にも在籍した選手で、レッドソックスの監督として5年間采配を振るったドン・ジマーもチームの殿堂入りしている。
その扱いはMLBの殿堂とは比較にならないほど小さいが、チームのためにプレーした野球人を忘れないでおこうというファンの思いがにじみ出ているように思う。
もちろん、MLBもNPBも各球団に「永久欠番」という制度があるが、背番号にこだわると選手の選抜が窮屈になるし、たびたび背番号を変えた選手はひっかからなくなる。
純粋に「チームで活躍した功労者」というくくりで選んではどうだろうか。そして、殿堂入りのハードルは、NPBの野球殿堂よりずっと低くてもいい。
チームごとの殿堂なら入る選手がいる。
例えば阪神タイガースの殿堂について考えてみよう。
NPBの殿堂入りしている藤村富美男、吉田義男、村山実などの大選手に加えて、こんな顔ぶれ。
遠井吾郎、藤田平、田淵幸一、掛布雅之、岡田彰布、ランディ・バース。
甲子園の大応援が聞こえてきそうな昭和の猛虎たちだ。私は彼らに加えて、川藤幸三や桑野議、桧山進次郎などの「代打の神様」も入れていいと思う。
例えば福岡ソフトバンクホークス
鶴岡一人、野村克也、広瀬叔功、杉浦忠、門田博光らすでに殿堂入りした野球人に加えて、
堀井数男、穴吹義雄、ジョー・スタンカ、佐藤道郎、山本和範、湯上谷宏、城島健司などなど。
大阪時代から九州に移っての名選手がずらっと並ぶ。現役中に急逝した久保寺雄二の名前があってもいいかもしれない。