オリンピックへの道BACK NUMBER
宇野昌磨が、結果を求めはじめた。
全日本選手権は「壁」を超える舞台。
posted2018/12/17 08:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Aasami Enomoto
平昌五輪、世界選手権でともに銀メダル獲得と、大きな成果を残して終えた昨シーズンを経て、宇野昌磨は、これまでとは異なる心持ちで臨んできた。
8月、アイスショー「フレンズオンアイス」の公開リハーサル後に語った言葉に、変化の兆しがあった。
「今年は、アイスショーに対する気持ちが今までと少し変わっていました。これまでは、いろいろなものに挑戦する自分のことだけでしたが、お客さんに少しでも楽しんでもらいたいという気持ちの変化があります」
このときばかりではない。NHK杯へ向けた10月の記者会見での抱負では、このように語っている。
「皆さんの期待に応えられるよう、精一杯、努力したいと思っています」
それらの言葉にあったのは、より強く責任を意識する姿だった。
これまでも責任感がなかったわけではないが、周囲に対する責任をより自覚する姿勢がうかがえた。それは、試合ごとに「楽しみたい。楽しむことを目指しています」と語っていた昨シーズンからの変化であった。
優勝こそが周囲の最大の期待。
元来、あらゆることに対して「やるからにはいちばんになりたい」と語るように、負けず嫌いでもある。その中にあって、フィギュアスケートについてはこう考えてきた。
「勝負に負けたくないという思いはありますが、自分がベストを尽くしたら、それ相応の結果がついてくると思うんです。
自分のやれることをやって、出た結果は自分の実力だと思っています。だから結果を求めて試合はしないです」