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Vリーグ、新設アジア枠の面白さと
日本人プレーヤー育成のジレンマ。

posted2018/11/28 16:30

 
Vリーグ、新設アジア枠の面白さと日本人プレーヤー育成のジレンマ。<Number Web> photograph by JT

Vリーグに加入したリュー・リービン。今季から新設のアジア枠の象徴的存在だ。

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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 バレーボールの国内リーグ、V.LEAGUEが10月26日に開幕し、男子のトップリーグ・Division1(V1)は1レグが終了した。昨シーズンの覇者・パナソニックパンサーズが首位で、昨季6位のサントリーサンバーズが2位につけている。

 今シーズンのリーグは“新生”とうたいながら、「何が変わったのかわかりにくい」という声がとにかく多い。プレーする選手たちでさえそう口にする。

 ただ、コート上で明らかに変わった部分もある。“外国人枠”である。昨シーズンまで外国人枠は各チーム1だったが、今シーズンから、アジア枠の1枠が加わった。

 アジア枠と言っても、男子はASEANと中国、韓国、女子はASEANの選手に限られる。つまり男子ではイラン(世界ランキング8位)、女子では中国(世界ランキング2位)といった強豪国が含まれない。

 Vリーグ機構によると、そうした国の有力選手は年俸も高額なため、資金力のあるチームだけが大きな補強をして有利になることを危惧する声がチーム側から挙がり、制限を設けたと言う。

中国代表の劉力賓が先発に定着。

 そのため、当初の「競技力向上のため」という目的よりも、「東南アジアのマーケットに対してビジネスを広げるため」という意味合いが大きくなっており、中途半端な感は否めない。

 ただその制限の中でも、大きな戦力になっている選手もいる。男子のV1では10チーム中5チームが今季アジア枠の選手を獲得し、そのうちJTサンダーズ、東レアローズ、大分三好ヴァイセアドラーの3選手が先発で起用されている。中でも存在感を発揮しているのがJTの中国出身選手、劉力賓(リュー・リービン)だ。

 劉は中国代表アウトサイドの23歳。開幕から先発に定着し、オーストラリア出身のオポジット、トーマス・エドガーに次ぐ得点源となっている。スパイク決定率2位、サーブ効果率7位はいずれもチームトップの成績だ。

【次ページ】 ハイレベルな試合が増える。

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パナソニックパンサーズ

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