スポーツ百珍BACK NUMBER
「えっ、捕手の年俸安すぎ……?」
プロ野球のポジション格差を大調査。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byHideki Sugiyama
posted2018/11/09 07:00
日本シリーズMVPに輝いた甲斐拓也。あの強肩なら、もっと年俸をもらっていいはずだ!
「打てる捕手」の年俸は高い。
その一方で「打てる捕手」に対しては、この限りではない。前述した阿部慎之助はファーストにコンバートされる以前、キャッチャーかつ主砲として大活躍し、最高年俸は6億円に及んだ。結局、捕手でも年俸を上げるには打ちまくった方がいいのだ。
他にも城島健司(4億円)、矢野燿大(2億1000万円)らはしっかりと評価された方なのだろう。球団や時代の違いがあるにせよ、あの古田敦也の最高年俸が3億円(選手専任時代)にとどまったのは、ID野球全盛の頃にパワプロで育ち、古田の「キャッチャー◎」効果を実感した筆者としては正直意外だった。
話が脱線したので、本題に戻る。現状の「捕手の年俸低い問題」、救世主となりうるのは……セ・リーグなら會澤翼、パ・リーグなら森友哉と甲斐拓也ではないか。
打てる捕手でリーグ制覇にも貢献した會澤と森は大幅アップ間違いなしで、今季のような成績が続けば、順調に年俸が上がっていくだろう。
そして森以上に、甲斐の契約更改でソフトバンクに大盤振る舞いしてほしい。
強肩というレアなスター。
前述した通り、甲斐の推定年俸は4000万円。日本シリーズのレギュラークラスで、甲斐の次に低い年俸なのはグラシアルの5500万円、それ以外はほとんど1億円プレーヤーだから、かなり格差がある。
シーズンで見た時、打撃成績で称賛するのは少ししんどいが、133試合出場はレギュラーとして十分の数字だ。
何より、あの強肩である。12球団No.1の盗塁阻止率.447、そして日本シリーズ新記録の6連続盗塁阻止、MVP獲得。あの送球に柳田悠岐のホームラン以上に衝撃を受けた人は多いはず。ホークスにとっても「強肩」というレアな全国区のスターが生まれたのは大歓迎だろう。
脚光を浴びづらいリリーフ投手や守備職人にもしっかり年俸を払っているソフトバンクだからこそ、期待したい。甲斐が日本一の貢献度を踏まえて大幅アップ、もっと言えば育成ドラフト6位から1億円プレーヤーの仲間入り、なんてなれば夢のある話だ。「あ、盗塁バシバシ刺せると稼げるんだ!」とキャッチャー志望の野球少年が増えるかもしれない。
だからこそ捕手の年俸格差、“甲斐キャノン”で打破してみてはどうだろう?