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同日に3つのGI、そしてオジュウ。
競馬界で起きた珍しい盛り上がり方。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byKyodo News

posted2018/11/05 16:30

同日に3つのGI、そしてオジュウ。競馬界で起きた珍しい盛り上がり方。<Number Web> photograph by Kyodo News

福永祐一の手綱でJBCクラシックを制覇したケイティブレイブ。今回初めて生で見たというファンも多かっただろう。

JBC3競走がはじめて京都で開催。

 翌日、11月4日は、京都競馬場でJBCスプリント、JBCクラシック、JBCレディスクラシックのJBC3競走が行われた。

 JBCは、地方の競馬場で開催を持ち回りにして行われてきた。アメリカのブリーダーズカップに範をとり、2001年から実施されているイベントだ。第1回は大井で、クラシックとスプリントが行われた。そして'11年からレディスクラシックが加わった。

 一日に複数のGI(JpnI)を実施することが売りのこのイベントが、ファン層の拡大をはかるため、今年初めて中央の競馬場で行われた。来年は浦和で行われ、また地方の持ち回り開催に戻るという。

 JBC3競走の皮切りに、まず第10レースとしてJBCスプリント(ダート1200m、3歳以上JpnI)が行われた。

 武豊のマテラスカイを、クリストフ・ルメールのグレイスフルリープ(牡8歳、父ゴールドアリュール、栗東・橋口慎介厩舎)がとらえて優勝。同馬は昨年、韓国GIのコリアスプリントを勝っているが、国内のGI(JpnI)はこれが初勝利。

 またルメールは、秋華賞、菊花賞、天皇賞・秋につづくGI4連勝で、単独最多記録の年間GI7勝目となった。JBC3競走は国際グレードではないJpnIなのだが、JRA・GIとしてカウントされるようだ。

JBCにとっても京都にとってもプラス。

 メインの第11レース、JBCクラシック(ダート1900m、3歳以上JpnI)は、福永祐一のケイティブレイブ(牡5歳、父アドマイヤマックス、栗東・杉山晴紀厩舎)が優勝。地方の競馬場では帝王賞、川崎記念といったJpnIを勝っているが、中央の競馬場で初めての重賞勝ちがJpnI制覇となった。

 2着は3歳のオメガパフューム。これら2頭と、昨年の最優秀ダートホースのゴールドドリーム、それを10月の南武杯で破った3歳馬ルヴァンスレーヴといった強豪による砂の王者争いは、例年以上にハイレベルな戦いになりそうだ。

 武の交流GI完全制覇がかかる一戦としても注目されたJBCレディスクラシック(ダート1800m、3歳以上牝馬JpnI)を制したのは、横山典弘のアンジュデジール(4歳、父ディープインパクト、栗東・昆貢厩舎)だった。武のプリンシアコメータは10着に終わった。

 地方競馬としては、今回の試みでJBC3競走の認知度を飛躍的に高めることができた。

 舞台を提供したJRAとしては、GIの谷間を埋めることができたことに加え、アメリカのブリーダーズカップデーや、フランスの凱旋門賞デー、ドバイワールドカップデー、そして香港国際競走デーのように、将来、一日に複数のGIを施行することになった場合のシミュレーションができた。

 JBC3競走にとっても、京都競馬場にとっても、売り上げ、入場人員ともに大幅なアップとなった。いわゆる「ウインウイン」である。

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