“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
本田圭佑のようなギラつきを見たい。
U-16日本に森山監督が求める野心。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byAFLO
posted2018/10/03 17:00
世代別からA代表までライバルとして立ちはだかるオーストラリア。U-16世代での対戦から叩いておきたい。
タジキスタン戦での悔しさを糧に。
勝利が何より重要視されたタイ戦、オマーン戦は同じスタメンだった。この2試合で起用された選手たちがレギュラーなのは明白だった。一方、タジキスタン戦は勝てば決勝トーナメント進出を決められたが、再三攻め込みながらもスコアレスドロー。森山監督が与えたチャンスに起用した選手たちは応えられなかったわけだ。
それだけにタジキスタン戦のメンバーが出場するとなれば、オーストラリア戦はその“リベンジマッチ”となる。果たして何人の選手がタジキスタン戦の反省を活かし、森山監督の期待に応えられるか。しかも、相手は強豪・オーストラリアだ。
オーストラリアにとって、インドネシアとの準々決勝は2万人超の相手サポーターがバックとメインスタンドを埋める、強烈なアウェー戦だった。
インドネシアがボールを運んだり、オーストラリアのボールをカットしただけで大歓声が挙がり、迫力満点のチャントが響き渡る。視察していた森山監督も「この雰囲気の中で日本の選手に試合をさせてあげたい。絶対に良い経験になる」と語るほど、凄まじいアウェー戦だった。
オーストラリア戦はご褒美ではない。
オーストラリアは立ち上がりのチャンスを逃すと、インドネシアに先制点を奪われる苦しい展開となった。だが、後半はFWボティッチがフリーマン的に前線で動き回りつつ、アンカーからの正確なパスで相手DFラインを混乱に陥れ、51分にDFウォルシュが同点弾を叩きこむ。さらに65分、74分と立て続けにゴールを挙げ、終盤に1点を返されたものの3-2で勝ち切った。
オーストラリアはサイズの大きい選手を多く配置しながら、ポゼッションもでき、効果的なロングボールを左右に散らして効率よく攻めてくる。これまでの相手とはレベルがひとつ違うのは間違いない。
ただ何度でも言うが、オーストラリア戦は決して“頑張ったご褒美”ではない。森山監督はU-17W杯のピッチに立てる選手が誰かを見極めようとしている。だからこそ、最後の最後まで選手としてのより高い可能性を示してくれるかどうかの“難関テスト”を彼らに提示しているのだ。