“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
サッカーU-17W杯出場決定の先へ……。
森山佳郎監督はアジア王者にこだわる。
posted2018/10/02 11:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
AFLO
「勝てばW杯、負けたら解散という、『天と地』のような……。ここまで『絶対に勝たないといけない試合』を経験したことはなかった。でも、その中できっちりと勝ち切って、なおかつ自分も結果を残すことができて良かった。この経験ができたことは一番大きかった……本当にこの勝利は凄くでかいです」。
試合後、U-16日本代表のエースストライカーである西川潤(桐光学園高)の表情は、安堵と抑えきれない興奮とが入り交じっていた。
AFC U-16選手権準々決勝、U-16日本代表vs.U-16オマーン代表。
この試合で勝てばU-17W杯出場が決まり、負けたらチーム解散という、まさに「天国と地獄」のどちらか1つが待ち構える決戦において、日本は2-1の勝利を収めて、2大会連続となるU-17W杯出場権を手にした。
やはり、世界を決める決戦は非常にタフなものだった。
立ち上がりから日本の選手の動きが固く、ミスも目立った。だが日本はそんな状況下で、相手の一瞬の隙を突いて先制点を奪った。
「前は絶対に決めてくれると信じていたので」
14分、日本はMF成岡輝瑠(なるおか ひかる/清水エスパルスユース)がヘッドでボールを前に送り込むと、素早く落下地点にFW荒木遼太郎(東福岡高)が走り込み、裏のスペースに飛び出した西川へダイレクトでパスを送る。胸でコントロールした西川が、GKと1対1となりシュート。シュートはGKのファインセーブに阻まれたが、こぼれ球がDFに当たってそのままゴールラインを割った。
しかし、22分に左サイドを崩されると、折り返しをヘッドで合わされ、すぐさま同点に追いつかれると、その後は攻め込みながらもオマーンの鋭いカウンターを受けるという展開が続き、接戦となった。
「1点獲ってから失点するのが時間的に早くて、チームとしてもちょっと嫌な雰囲気がしていたので、ハーフタイムで全員に声をかけた」と西川が語ると、キャプテンのCB半田陸(モンテディオ山形ユース)も「前は絶対に決めてくれると信じていたので、自分達はとにかく失点をしないことを意識しました。1失点はしましたが、それ以上はないように集中し直しました」と教えてくれた。
彼らは、ハーフタイムの時間にネガティブな雰囲気を一掃していたのだ。