競馬PRESSBACK NUMBER
武豊、4000勝達成から凱旋門賞へ。
「挑戦、勝つ事がモチベーション」
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2018/10/05 16:00
凱旋門賞へ向け、最終追い切りを行ったクリンチャーを見届ける武豊騎手(中央)と宮本博調教師(右)。
「意外性がある馬という感じ」
この一戦では観戦にまわった武豊騎手だが、ダンビュライトに騎乗してクリンチャーと戦い続けたクラシックレースも述懐しつつ、次のような感想を述べた。
「どこで走るのか、走らないのか、少し掴み辛いタイプですね。でも、走った時のパフォーマンスをみる限り、高い能力があるのは間違いありません。意外性がある馬という感じですね」
そして渡ったフランス。凱旋門賞に挑戦するため、予定通り、前哨戦であるフォワ賞(GII・パリロンシャン競馬場、芝2400m)を走った。
9月16日に本番と同じ舞台で行われたこのレースの4日前、同馬は武豊騎手を背に最終追い切りを行った。
クリンチャーが入厩しているのはパリ郊外、馬の街として有名なシャンティイ。名門パスカル・バリー厩舎の馬房を、帯同馬であるゲネラルプローベと共に間借りしている。普段の調教も当然、シャンティイで行っている。
最終追い切りは、同地のエーグル地区にあるレゼルヴォワという芝の直線コースで敢行。ゲネラルプローベを先行させて、1200mのキャンター。半馬身ほど遅れてフィニッシュラインを通過した。
意識的に本番でピークを。
併せた相手は、日本で平地1勝、障害未勝利と完全に格下馬。その馬に先着を許す形となったが、これには天才騎手の思惑があった。
「併せた相手が思った以上に走ったという事はあったけど、それでもかわそうと思えばいくらでもかわせる手応えにはありました。それでもかわさなかったのは勿論、それなりの考えがあったからです。
これまで凱旋門賞に挑戦した日本馬は、前哨戦を勝つけど、本番で負けると言うパターンが多くありました。だから、今回は意識的に本番でピークになるよう、軽めの追い切りにしました」
その上で、更に続けた。
「とはいえ、前哨戦としてはそれなりに良い状態にはなっていると思います」
見守った宮本師も首肯して言った。
「前哨戦なりに良い状態では臨めそうです」