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「上半身の筋肉量が増えて…」女子400m“17年ぶり日本記録超え”はなぜ起きた? 21歳の新星フロレス・アリエ“覚醒のワケ”「また日本記録に挑戦したい」
posted2025/06/06 11:01

今季、400mでこれまでの自己ベストを1秒以上更新した日体大3年のフロレス・アリエ。その進化の秘密は「上半身強化」にあるそう
text by

石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
Yuki Suenaga
今季、日本女子陸上界に現れた新星が21歳のフロレス・アリエだ。女子400mで17年間破られなかった日本記録を上回るタイムをマークし、一躍注目選手へと躍り出た。父がペルーと日本、母はイタリアとペルーにルーツを持ち、現在は日本国籍取得を申請中の新ヒロインに話を聞いた。《NumberWebインタビュー全2回の2回目/最初から読む》
5月3日の静岡国際陸上女子400mで日本記録を0.04秒上回る51秒71で優勝した日体大3年生のフロレス・アリエ。父がペルーと日本、母はイタリアとペルーにルーツを持ち、現在は日本国籍取得を申請中のため「日本新記録」とはならなかったものの、17年ぶりの「日本記録超え」のタイムは大きなインパクトを残した。
昨年までの自己ベストは53秒台。突然の覚醒にはどんな理由があったのだろうか。
上位選手と比べ…痛感した「上半身の差」
3度日本選手権を制し、日本歴代2位の記録を持つ松本奈菜子(東邦銀行)ら実力者たちは上半身の筋肉が鍛え抜かれている。自分と彼女たちを比較したとき、上半身の筋力アップの必要性があると痛感した。
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「ウェイトトレーニングで筋肉が重くなりすぎて走れなくなるかもしれないし、逆に自分に合うかもしれない。でも、いずれにしてもやってみないと分からないし、レースのない冬季にしかチャレンジできないと考えて取り組みました。
それに私は腕に乳酸が溜まってしまうタイプで腕が割れちゃう(疲労で痛んだり、だるさや重さを感じる)んです。それを改善したいという意図もあって上半身を中心に鍛えました。筋肉量が増えたことで無理をしなくても腕を大きく振れるようになり、ストライドも伸びたと思いますし。その結果、前半からスピードに乗れるようになりました」
レース後半になっても勢いが落ちないのも彼女の持ち味だ。