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たびたび出るCS不要論に物申す!
ファンの愛を増幅させる装置なのだ。 

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池田純

池田純Jun Ikeda

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photograph byKyodo News

posted2018/09/30 09:00

たびたび出るCS不要論に物申す!ファンの愛を増幅させる装置なのだ。<Number Web> photograph by Kyodo News

9月26日夜、広島市内は27年ぶりとなる地元での優勝に沸くファンであふれかえった。

下克上も一種の“装置”に。

 反論はあるでしょうが、CSの醍醐味でもある「下克上」、達成した側はそれはそれで痛快ですし、逆の立場なら悔しさ虚しさ、やるせなさ満載です。3位のチームが、リーグ戦を圧勝したチームを破って日本シリーズに進んだらものすごく興味深いことですし、その盛り上がりが野球ファンを超えて一般生活者にまで広く伝わることもあるほどです。

 トップを独走したチームが、あっさりと負けてしまうなんてことも起こりうる。そこにはファンの希望や喜び、失望や怒りを感じさせる要素がギッシリ詰まっています。実はこれが、CSがおもしろい仕組みだと考える最も重要な理由ですし、CSは「複雑に絡み合う地域とファンの愛を生み出す」ための“装置”となっていると私は捉えています。

 この感情をいかに生み出し、蓄積させるかがプロスポーツリーグビジネスのキモで、地域密着を掲げる興行主としてのブランドマネージャーの役割でもあります。よく「ブランドイメージを刷新します!」と言ってロゴマークを変える企業もありますが、それだけではまったく意味がありません。

グッズ売り上げ54億円の凄まじさ。

 重要なのは空気をコントロールすること。“ザ・オーナー”である広島東洋カープの松田元・球団オーナーは、その空気作りがプロスポーツリーグビジネス界一卓越していると思います。

 1つの例としてグッズの販売力を見てみましょう。広島東洋カープの球団グッズ売上げは今やおよそ54億円。こんなに売り上げている球団は他にありません。グッズの機能的、情緒的な両側面のデザインが素晴らしく長けていて、カープのブランド構築の大きな因子と化している。他のプロチームが表面上だけ真似しても上手くいかないでしょう。

 また、軽々しく触れるべきではないかもしれませんが、自然災害などの出来事が日本各地で起きました。さらには長年活躍した選手の引退など、その地域で積み上がった空気や感情は、カープのようなアイコン、魂に複雑なまでに絡みつきます。

【次ページ】 広島という地域の感情、想いが。

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