【NSBC補講IV】皆川賢太郎のスキー革命論BACK NUMBER
冬季アスリートは夏どう過ごしてる?
実は多忙なオフで、筋トレも過酷。
text by
皆川賢太郎Kentaro Minagawa
photograph by2018 HEIDI Co., Ltd.
posted2018/08/27 07:00
夏場は陸上でのフィジカルトレーニングやテストを始め、ウォータージャンプやエアマット、人工芝ゲレンデを使用することも。
冬季スポーツの「夏」は忙しい。
スノーボードの場合、スキーと決定的に異なるのは、雪上で新しい技にトライしようとすると体が壊れてしまう可能性があるため、雪上に上がるまでにテクニカルなトレーニングをいかに積めるか、“技”としての完成度を高められるかどうかということです。ウォータージャンプやマットなど、安全なところで練習し、自分の技を確立してから雪上に上がらなければなりません。
競技以外の部分でのウィンタースポーツの「夏」という面では、われわれスキー連盟にとっては実は多忙な時期とも言えます。ツアーや大会が行われる冬の方が忙しいと思われがちですが、春~秋の仕込みの時期の方が業務は多く、シーズンに入ればすでに商品が販売終了している状態。あとは選手たちが活躍するニュースを待つだけというわけです。
ですから、雪がない時期に私たちがどれだけ選手たちのサポート体制を整え、資金を集められるか。その結果が冬の彼らの成績につながっていくといっても過言ではありません。
冬の競技は他の競技に比べ、通年化が難しいスポーツで、それを実現できるかが将来的な課題でもあります。ご存知の通り、日本では冬以外、雪が降りません。雪が降らない季節にもスキーができるインドア施設がないので、海外に行かなければ選手たちが雪上に立つことはできないという問題があります。
いずれお話をすることになると思いますが、1年を通じて楽しめる室内スキー場「スキー・ドーム」の建設や同様のフィールドを作ることは、競技者のためだけに限らず、スキー産業復活のためにも必要不可欠なものだと考えています。
(構成・石井宏美)