【NSBC補講IV】皆川賢太郎のスキー革命論BACK NUMBER
冬季アスリートは夏どう過ごしてる?
実は多忙なオフで、筋トレも過酷。
text by
皆川賢太郎Kentaro Minagawa
photograph by2018 HEIDI Co., Ltd.
posted2018/08/27 07:00
夏場は陸上でのフィジカルトレーニングやテストを始め、ウォータージャンプやエアマット、人工芝ゲレンデを使用することも。
フィジカルトレを1日5~6時間。
なので、陸上でのフィジカルトレーニングも大事ですが、やはりスキー選手にとって“滑る”ことが何よりも重要とされています。
スキー選手はどれくらいのフィジカルを持っているのかはあまり知られていませんが、他の競技の選手たちと比較しても劣らない、むしろポテンシャルが高いと私は思っています。それはなぜなのか――。雪上練習と同時に他の競技と同じくらいフィジカルトレーニングを行うからです。
例えば、プロサッカー選手はシーズン中に1日1時間半~2時間程度練習すると思いますが、スキー選手の練習時間はその3倍くらいになります。もちろん、サッカー選手は試合数が多いことも考慮しなければなりませんが……。
大体、シーズン前は1日5~6時間、フィジカルトレーニングに励むことが常識化されています。雪がある場所での練習も、雪上練習の後にフィジカルトレーニングがついてくるんです。鬼のような練習量でしたね(笑)。ただ、ツアーがはじまってしまうと、1日1時間半程度、私は1日に5~10本程度しか滑りませんでした。
持久力と瞬発系のバランスを。
フィジカルトレーニングではかなり負荷をかけます。時期にもよりますが、オフ明けは筋力トレーニングと並行して持久力をつけるメニューも。その後、ツアーのスタートを見越して、動ける体にしなければならないので、トレーニングをスピードと瞬発系中心のものに変えていきます。
ただ、シーズンは長いので、それに耐えうる持久力が必要なため、そこを鍛えるトレーニングも継続する。両方鍛えていかなければならないのですが、本来、ウェイトトレーニングを行った後に有酸素系のトレーニングを行うとほとんど意味がなくなってしまうので、そのさじ加減は非常に難しいものでした。
これはアルペンの一例ですが、スノーボード、ジャンプ、クロスカントリーと競技が異なれば内容も変わります。たとえばスノーボードはアルペン競技ほどの体力を必要としないものが多く、さらに専門的なトレーニングが多いものです。