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ハース快走の陰に、この日本人アリ。
F1界で活躍する“サムライ”富塚裕。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byMasahiro Owari
posted2018/07/16 09:00
ブリヂストンを退社し、イギリスに移住してF1界で働くことを決めた富塚裕。
共通の哲学は「タイヤを制する者がレースを制する」。
2人には共通のレース哲学がある。
それは、「タイヤを制する者がレースを制する」という、レース界に長年存在する真理だ。
どんなに馬力があるエンジンを搭載しても、そのパワーを伝えるのは地面と唯一接地しているタイヤである。ドライバーがどんなに素晴らしいステアリングさばきをしても、タイヤがなければマシンは曲がらない。
走る・止まる・曲がる――これらをすべてコントロールしているのはタイヤ。したがって、タイヤを理解することが何よりも重要になる。
小松から相談を受けた浜島に迷いはなかった。
「日本人で、F1チームのオペレーションの中枢にいるということは、実力ももちろんあったのでしょうが、大変な努力を重ねられた結果。今後も頑張ってほしいし、そのためのお手伝いができるのなら協力したい」(浜島)
ブリヂストン時代の部下を推薦した浜島。
かつてライバルとしてしのぎを削った2人にしかわからない信頼関係が、浜島の心を動かした。
同時に、自分がF1チームで仕事をした経験を少しでも多くの後輩に体験してもらいたいという情熱も湧いた。その浜島の脳裏に浮かんだのが、かつてブリヂストン時代に部下として活躍していた富塚裕だった。
「シンガポールGPの3週間後に、日本GPがある。そこでなら、小松さんと連絡が取りやすいだろう」と考えた浜島は、シンガポールGPから帰国後、直接富塚に電話を入れ、本人の意向を確認した。