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F1での跳ね馬復活の立役者、死す。
S.マルキオンネ、突然の訃報。
posted2018/07/29 09:00
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
ハンガリーGP開幕直前の7月25日、F1界に訃報が届いた。
「フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)」のCEO兼「フェラーリ」の会長兼CEOを務めていたセルジオ・マルキオンネが急逝したのだ。
容態が急変したのは、今月に入ってからだった。
右肩の手術を受けたものの、術後の経過が思わしくなく、ドイツGP直前に合併症を併発させたという。症状が想定外に悪化し、実務の続行が不可能だと判断したFCAとフェラーリは、緊急の取締役会を別々に開き、後任選定の会議を行った。
役職を引き継ぐ準備をしていたが……。
その一連の会議において、ドイツGP期間中の7月21日、FCAの新CEOに、FCA傘下のジープのCEOであるマイク・マンリーが指名され、フェラーリの新会長にはフィアット創業家出身で名誉会長を務めたジャンニ・アニェッリの孫であるジョン・エルカーンが選出された。
またフェラーリは株主の承認を待って、数日中にもフェラーリの取締役でフィリップ・モリス・インターナショナルの会長も務めた経験があるルイス・キャリー・カミレーリをフェラーリの新CEOに任命する予定だった。
その発表からわずか4日後の悲しい知らせに、F1界だけでなく世界の自動車業界全体が衝撃を受けた。
マルキオンネは1952年にイタリアのアブルッツォ州キエーティで生まれたが、13歳のときに両親とともにカナダに移住。イタリアとカナダの二重国籍を保有し、国際感覚に長けた人物だった。