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ハース快走の陰に、この日本人アリ。
F1界で活躍する“サムライ”富塚裕。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byMasahiro Owari
posted2018/07/16 09:00
ブリヂストンを退社し、イギリスに移住してF1界で働くことを決めた富塚裕。
世界最高峰のレース現場で仕事をしてみたい!
富塚は'00年から2年間、ブリヂストンのBARとアロウズ担当のエンジニアとして現場での経験があった。さらに'02年にはフェラーリのテストチームと仕事をしており、'03年に帰国後もレースタイヤの開発を行っていた。
タイヤのことを熟知しているだけでなく、現場にも精通していたのだ。
世界最高峰のレースであるF1という世界で、もう一度仕事をしてみたいと思っていた富塚は、ハースの面接を受けることを決意。
無事合格し、今年の2月に正式にハースの一員となった。
多国籍のチームで価値観の違いをどう理解するか?
浜島は富塚にこんなエールを贈る。
「多国籍の人々で成り立っているF1チームでは、価値観の違いを理解することが重要です。その違いがどこから来るものなのか理解してしまえば、看過することができ、ストレスの軽減ができるからです。
また、タイヤの仕事はなかなか数値に表しにくく地味ですが、地道にコツコツ仕事をして、信頼を勝ち取り、必要とされるチームの一員に早くなってください」
富塚にとってハースでの9戦目のレースとなったオーストリアGPは、多くのドライバーがタイヤ内部に気泡ができる「ブリスター」と呼ばれる症状に悩まされた。
ハースの2台も例外ではなかったが、厳しい状況の中で冷静にタイヤをマネージメントした。