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シャラポワの自伝が全方位に挑発的!
「妖精」とは程遠いエゴと攻撃性。 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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posted2018/06/29 10:45

シャラポワの自伝が全方位に挑発的!「妖精」とは程遠いエゴと攻撃性。<Number Web> photograph by AFLO

コート内外で発揮されるシャラポワの闘争性は、過酷な環境から成り上がることを可能にした素養の1つでもあるのだろう。

「ほとんどは甘やかされたガキだった」

 錦織圭が鍛錬を積んだ場所として、日本でもこのアカデミーの存在は広く知られるようになったが、シャラポワ自伝にはその実態が赤裸々に書かれ、彼女はアカデミーに集まる少女たちのことを一刀両断にする。

「少女たちは世界中からこのアカデミーに来ていた。まあまあ上手な子もいた。かなり上手な子も。優秀な子もいた。でも、大半はさほど上手ではなかった。こうしたプレーヤーたち、アカデミーに真の意味で利益をもたらしている生徒がいたのは、彼らの親が現実に向き合うことができなかったからだ」

 要は、自分の子どもをプロに育てたい親が世界中にごまんといるということだ。自分たちが「集金先」とは知らずに……。

 そしてシャラポワは、ここまで言い放つ。

「こんな女の子たちのほとんどは甘やかされたガキだった」

 シャラポワが「妖精」ではないことが、このひと言で明らかだと思う。

 個人的に興味深かったのは、アカデミーでは教育が後回しであることが暗示されていることだ。シャラポワはほとんど学校には通っていない。さらにはメキメキと頭角を現したシャラポワは、夜に起こされ、コートを見つめる投資家を前にしてテニスを披露したりもする。

 アカデミーは、天国ではない。

 テニスという厳しいビジネスの世界の、最前線基地なのだ。

 シャラポワは10代前半でこの戦いを勝ち抜き、テニス界で大きな影響力を誇るIMGとマネージメント契約を交わし、するとすぐさまナイキがスポンサーの列に加わった。

ロッカールームは敵愾心が渦巻く場所。

 そしてもうひとつ、興味深いのはプロテニスツアーの実態である。

シャラポワはアカデミーでも、決して友達を作らなかった。将来、戦わなければならない相手と仲良くする必要などどこにもないと感じていたからだ。

 もし、「のびのび、すくすくと子どもを育てたい」のなら、テニスの世界には踏み込まない方がいい。ロッカールームは敵愾心が渦巻く場所であり、シャラポワは成功を収めた後、さらに孤独を深める。まだ、17歳だったというのに……。

【次ページ】 スポンサーを取られた選手たちの嫉妬心。

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#マリア・シャラポワ

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