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ブラジル人のW杯熱は想像を絶する。
ネイマールが負う途方もない期待。

posted2018/06/14 17:00

 
ブラジル人のW杯熱は想像を絶する。ネイマールが負う途方もない期待。<Number Web> photograph by Takashi Kumazaki

ワールドカップが単なるスポーツのイベントではなく、街と人生に深く根を下ろしていることが伝わってくる。

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熊崎敬

熊崎敬Takashi Kumazaki

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Takashi Kumazaki

 ワールドカップはスタジアムの中だけで行なわれているわけではありません。出場32カ国の地元では、さまざまな形で“お祭り”が繰り広げられます。

 1930年の第1回ウルグアイ大会から、今年の第21回ロシア大会まで全大会出場を続けている唯一の国ブラジルには、サッカー王国ならではの心温まる伝統があります。それは壁や路上、いたるところにワールドカップにまつわる絵を描くということ。文字通り、国中がワールドカップに“染まる”のです。

 この伝統を知ったのは4年前のブラジル大会。

 大会中、ブラジルで路地を散策していると、ネイマールやダビド・ルイスといったスーパースターの肖像、黄金のトロフィーや大会マスコットの絵が次から次へと出てきてテンションが上がりました。

 ちなみに、1958、1962、1970、1994、2002と数字が描かれた路地も。この数字が表わすものはなんでしょう。

 答えは簡単。ブラジルが優勝した大会の年号です。

 4年に一度、こういうものをいたるところで目にするので、幼い子どもも自然に過去の栄光を学び、サッカー王国の住民となっていく。

ブラジルはW杯のたびに路地に絵を描く。

 ブラジルの人々は、ワールドカップ1週間前あたりから近所総出で地域の飾りつけを始めます。家の壁に国旗を掲げたり、路地上にナショナルカラーの黄色や緑で飾りつけをしたりして、壁には壁画を、路上には地上絵を描き始めます。

 その様子は、学園祭の準備を彷彿とさせます。そう、ブラジル人は4年に1度、国中で学園祭の準備をしているわけです。この壮大なイベントが、人種のるつぼであるブラジルの、なんともいえない一体感を生み出しているのかもしれません。

 さて、前回ブラジル大会で数々の作品を“発掘”した私には、忘れられない作品があります。

 それはリオ・デ・ジャネイロの緑豊かな住宅地ベンジャミン・コンスタントで見つけた壁画。ご覧の通り、角の2面をキャンバスにした作品は、右には代表チームの面々が、左には没後20年となる不世出のF1レーサー、アイルトン・セナと地元住民が描かれていました。

【次ページ】 「セナと一緒にセレソンを応援するからね」

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