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ロシア連邦総領事館員が教える、
W杯を迎える現地の本当のところ。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byChigirev Anton
posted2018/06/11 07:00
南アフリカ、ブラジルと続いてきたことを考えると、ロシアでのW杯は日本人サポーターにとっても過ごしやすい大会になりそうだ。
モスクワ駐在員の間でも定番。
ジョージア料理は日本人の口にとても合い、日系企業のモスクワ駐在員が、日本から来た訪問者を驚かすのによく利用される。
他にジョージア料理の例をあげると、ピリ辛スープの中に米と牛肉が入った「ハルチョー」は、まるでスープカレーのよう。ジョージア風のピザ「ハチャプリ」は、ヨーグルトが練りこまれた生地にチーズの油が染み込み、噛んだ瞬間に重厚なコクを味わえる。
駐在員の間で「ロシアに来たら絶対に食べるべき」と言われているのが、ジョージアのチーズ「スルグニ」だ。
モッツァレラのような柔らかさがありながら、豊かな弾力があり、噛めば噛むほど味が出てくる。ぎしぎし音が立つような独特の歯ごたえは、他のチーズでは味わえない。そのまま食べてもおいしいし、フライパンで焼くとさらに風味が増す。賞味期限が短いため、スーパーのような量販店では扱っておらず、購入するなら市場に行かなければならない。現地でしか味わえない逸品だ。
「ロシアは国土が広く、いろいろな民族の文化が融合している。W杯観戦の際には、そういう点も注目してみるとおもしろいと思います」
気温的にも攻撃的なサッカーには追い風。
一方、競技面ではどんなW杯になるだろう?
「平均気温で言えば、最も暑いのがソチで、最も涼しいのがサンクトペテルブルク。ただ、どこも日によって気温と湿度の変化が大きい。天候が予測しづらいんです。僕が約20年間モスクワに住んでいた間、森林火災が収まらないような異常な猛暑だったことが2度ありました。
日本の初戦は現地15時キックオフなので、すごく暑くなる可能性もゼロではない。しかし平均的に見れば、攻撃的なサッカーをするのにはいい気候条件の大会になると思います」
アントンが心配しているのは、ロシア代表のパフォーマンスだ。直近のテストマッチで結果が出ていない。今年に入ってから親善試合で1勝利もあげられていない(1分3敗)。
「チェルチェソフ監督はディナモ・モスクワといったクラブを率いた経験しかなく、代表監督経験はゼロ。メディアからの批判が高まっています」
特に問題視されているのは、ディナモ・モスクワ時代に衝突したデニソフを代表に選ばないことだ。この34歳のMFは今季ロコモティフのリーグ優勝に貢献し、待望論が高まったがW杯メンバーに選ばれなかった。