沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
ダービーで激突する2頭の無敗馬。
ブラストワンピースに混戦適性が。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2018/05/26 07:00
11月のデビューから年明けまで3連勝。ブラストワンピースは人気の上でもダノンプレミアムに次ぐ存在になっている。
キャリアは少なくても、混戦は体験済み。
2戦目のゆりかもめ賞は、ダービーと同じ舞台の東京芝2400m。ゆったりした流れのなか後方で折り合い、直線で他馬と衝突する場面がありながら、怯むことなく馬群を割って突き抜けた。
また、前走の毎日杯の直線では、内埒に軽く接触しながら豪快に抜け出し、次走のNHKマイルカップで2着となるギベオンを2馬身突き放した。
少ないキャリアながら、いかにも混戦向きの勝ち方をしているところがいい。
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管理する大竹正博調教師にとって、意外にも、これがダービー初参戦となる。厩舎開業10年目。3年目の2011年にフレンチカクタスでフィリーズレビューを勝って重賞初勝利を挙げ、2015年にはルージュバックで牝馬として51年ぶりにきさらぎ賞を優勝。1番人気で桜花賞とオークスに臨んだが、それぞれ9着、2着に敗れた。
他人の手法は、いいと思えば躊躇なく真似る。
父は騎手として、1969年にダイシンボルガード、1981年にカツトップエースでダービーを2勝した大崎昭一氏。その姿を間近で見ながらも、大竹師自身は、子どものころから騎手になりたいと思ったことはなかったという。
「父はしょっちゅう怪我をしていて、たまに会うといつも病院のベッドの上だった」というイメージが強く、少年の目には怖い世界のように映っていたからだという。
それでも、麻布大学獣医学部を卒業後、白井牧場での勤務を経て、競馬学校厩務員課程に入学。美浦トレセンで厩務員、調教助手として働くようになった。
萩原清厩舎の助手時代、ロジユニヴァースの「栗東留学」に同行した。調教師になってからは、2年目に3歳牝馬ロジフェローズを栗東に滞在させて桜花賞出走を狙うなど、当時から「枠」や「既成概念」にとらわれず、積極的に動いていた。
競馬週刊誌などに掲載されているブラストワンピースの立ち姿の写真を見ておわかりのように、厩舎の前庭には芝生がひろがっている。これは、同じ年に調教師になった須貝尚介調教師がそうしているのを栗東で見て、いいなと思って真似たのだという。真似たというのを隠そうとしないのも、この人らしいところだ。