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いまだ17位に沈むガンバ大阪の危機。
降格の'12年、三冠の'14年に学ぶこと。
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/04/27 11:00
湘南戦も勝ち点を確保できなかったガンバ大阪。クルピ監督体制でもかつてのリズムは取り戻せないのか。
遠藤、藤本の先発起用にも一考を。
ヒントは2勝を挙げた試合に隠されている。
「守備というものはチーム全体で機能させるもので、前線の守備から始まる」(ファビオ)
いずれも完封勝利を飾っているジュビロ磐田戦とセレッソ大阪戦で共通するのは、前線からの連動した守備と、運動量で遅れを取らないスタイルで勝利につなげたということだ。
「昨年とはやろうとしているサッカーが違う」と遠藤は攻撃的なスタイルの再構築に意欲を燃やすが、攻撃時に人数を割くスタイルだからこそ、不可欠なのが攻守の切り替えの速さと運動量。
「攻撃的なサッカーをする」という指揮官の言葉を否定するつもりは毛頭ないが、ポゼッション率や個のアイデアにこだわるがゆえ、過密日程の中で遠藤や未だトップフォームを取り戻し切れていない藤本淳吾を無条件で先発に起用するクルピ采配は疑問である。
宮本監督が鍛えた高江らの地殻変動。
右足首を痛めていた今野の復帰が近づいているのは確かな朗報だが、チーム内で起きつつある地殻変動もポジティブな材料であることは間違いない。
セレッソ大阪戦でJ1デビューを飾ったのはプロ2年目の高江麗央。ガンバ大阪U-23では宮本恒靖監督にボランチとしての適性を見いだされた技巧派は、大阪ダービーという大舞台で、優れたボール回収能力をアピールした。
宮本監督から個人戦術やポジショニングを叩き込まれた若手がJ3で結果を出せば、抜擢するのがクルピ流のはず。ワールドカップイヤーならではの過密日程にもかかわらず、今季はまだルヴァンカップの浦和レッズ戦でしかターンオーバーを採用していないが、ベテラン依存ではこの先に待つ厳しい日程で取りこぼしが続くはずだ。
湘南ベルマーレ戦から中3日で迎えるサガン鳥栖戦も、走力で遅れを取れば苦戦は必至。過去の戦歴では優位に立つが、今季のベガルタ仙台や北海道コンサドーレ札幌は、侮れない相手である。
ワールドカップによる中断期間まで残されたリーグ戦は5試合。梶居強化部長は大阪ダービー前、「負けても解任はない」と全幅の信頼を寄せていたが、ブラジル人指揮官の手腕もまた、見極められるべきものである。