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いまだ17位に沈むガンバ大阪の危機。
降格の'12年、三冠の'14年に学ぶこと。
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/04/27 11:00
湘南戦も勝ち点を確保できなかったガンバ大阪。クルピ監督体制でもかつてのリズムは取り戻せないのか。
昇格3チームに3敗という現状の実力。
一方で今季のガンバ大阪は、苦戦が必至のメンバー構成だ。昨年のJ1では10位でフィニッシュしただけでなく、9月以降のリーグ戦は10試合勝ちから遠ざかっていた。そんなチームの立て直しを托されたレヴィー・クルピ監督だが、「ないない尽くし」のままで試行錯誤が続いている。
井手口陽介の完全移籍に続いてアデミウソンと今野泰幸が戦線離脱。「フロントがしっかりと外堀を埋め、チームの駒を新しい監督に与える」と昨夏、梶居勝志強化部長が口にした言葉の実現度は現時点でゼロと言っていいだろう。
何せ、即戦力と目したはずの矢島慎也は途中交代どころか、ベンチに入れないこともしばしばで、菅沼駿哉もファビオの出場停止によって湘南ベルマーレ戦でJ1初出場を果たしたのみ。10位のチームが戦力ダウンのまま「奪還」出来るほどJリーグは甘くないのである。今季昇格した3チームに早くも3敗を喫しているのは、現状の実力を端的に物語るのだ。
遠藤は年間96得点という目標を挙げたが。
もっとも、低迷の原因をフロントだけに押し付けるわけにはいかないだろう。「見極め」がすっかり口癖になったブラジル人指揮官だが、日々の練習は紅白戦が中心で、未だにチームが目指す確固たる戦術は見えて来ないのが現状だ。
「いかに攻め、いかに守るかが重要」
サッカーの原理原則を重視するクルピ監督ではあるが、特に守備戦術に関しては明確な指針や約束事が不可欠になるはずだ。
J1最多得点をマークした2012年はアウェイの浦和レッズ戦で5-0と圧勝したり、やはりアウェイの川崎フロンターレ戦で3-2と打ち勝つなど、インパクトのある「瞬間最大風速」を披露。それでもリーグワースト2の失点の多さが最終的には降格につながった。
開幕前、遠藤保仁は「今季はたくさん点を取るガンバを見せられたらいい。昨シーズンの倍は取りたい」と年間96得点という目標をぶち上げたが、今クルピ監督がなすべきは、現実路線の回帰である。