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大谷翔平が最速“インストール”した
プホルス先生の「ヒールダウン打法」。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2018/04/13 11:45
日本人選手の多くが悩んだメジャーリーグへの適応。この短期間での大谷の尋常ならざる急成長ぶりには理由があった。
日本ハム時代はブライス・ハーパーを真似していた。
大谷は、日本ハム時代から先輩投手や相手チームの投手の形態模写が得意で、ちょっと見ただけで相手の特徴をつかみ、投球フォームなどをそっくりにモノマネで再現することができるのだという。
実は日本ハム時代の一本足打法もメジャーで憧れの打者であるワシントン・ナショナルズのブライス・ハーパー外野手のフォームを参考に(真似て)たどり着いたものだったのである。
そのモノマネ上手の話を聞いて、もう1つ、思い出したのがエンゼルスのビリー・エプラーGMの話だった。
同GMが大谷の優れた才能として上げていたのが高い身体表現力だったのである。
「視覚で捉えたものを身体で具体的に表現できる力が優れている」
このモノマネの才能と身体表現力があるから、大谷は開幕直前の慌ただしい時期でも打撃フォームの修正を行えたのだろう。
大谷が真似た偉大なる“先生”は誰?
実は明らかに今回のフォーム修正には“先生”がいる。
直接、教えたのではないだろうが、エンゼルスのチームメイトにまったく同じ膝の使い方をする選手がいるのだ。大谷はその膝の使い方を参考にフォームの修正を行ったと想像できるのである。
その“先生”こそ、昨年メジャー通算600号本塁打を達成し、今季はメジャー通算3000本安打にあと15本(4月12日現在)と迫っているアルバート・プホルス内野手だった。
なぜプホルスなのか?
チームには現在のメジャー最強打者と言われるマイク・トラウト外野手もいる。それなのになぜトラウトではなく、プホルスなのか?
それは2人の打撃スタイルの違いだった。