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打者・大谷翔平と投手・大谷翔平は、
ひとつの心と体で、どう共存してる?
posted2018/04/13 11:40
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
AFLO
ピッチャーに専念したらいいのに、という声が高まれば高まるほど、大谷翔平はバッターとして、結果を残してきた。
日本でのプロ5年間も、常にその繰り返しだった。
2015年シーズンの大谷は投手として15勝5敗、防御率2.24とキャリアハイの成績を残した一方で、打者としては打率.202、5本塁打と低迷していた。
そのシーズンの終盤、石田雄太さんの連載「野球翔年」の取材で、「バッターの大谷翔平は、ピッチャーの大谷翔平を打てますか」という問いに、大谷はこう話している。
「今ですか……今は、どんなピッチャーにも抑えられちゃうと思いますけど(苦笑)」
その年のオフの「プレミア12」では日本代表のエースとして、準決勝の韓国戦で6回までノーヒットの快投。すっかり日本のエースとなり、打者としての存在感は薄れているように見えた。
その空気を一変させたのが、2016年3月20日のオープン戦で放ったホームランだった。この年の実戦での第1号は、スワローズ原樹理の外角低めに逃げるシュートをレフトスタンドへと運んだ一発。5日後には開幕投手を務めることになっていたが、バッターとしても仕上げてきたことを予感させた。
ピッチャーとバッターを競わせていません。
この頃に行われた「野球翔年」の取材で、「このままだとピッチャーにされてしまうんじゃないか」という不安に苛まれてはいないのだろうか、という石田さんの問いに対して、大谷はこう答えている。
「そういうプレッシャーはないですね。もちろん常に結果は欲しいんですけど、ピッチャーの成績が伸びてきたこととバッターとしての成績は別ですからね。もともと自分の中ではピッチャーとバッターを競わせてはいませんし、切磋琢磨もしてません(笑)」
結果的に2016年は打率.322、22本塁打で日本一に貢献し、バッターとしての評価も不動のものとしたシーズンになった。