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真のパートナーを見つけたホンダ。
トロロッソとの絆で掴んだ4位入賞。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2018/04/11 17:30
すべてが完璧に運んでの4位入賞。トロロッソのスタッフはガスリーを胴上げして歓喜を爆発させた。
「マクラーレン・ホンダ」は幻想になった。
‘15年にホンダがマクラーレンとタッグを組んでF1に復帰する際、彼らは16戦15勝した1988年をはじめとして、'80年代から'90年代前半にF1界を席巻した、あの「マクラーレン・ホンダ」のイメージを前面に打ち出したが、それは幻想に過ぎなかった。
結局'00年から'17年までの参戦12年間で優勝1回のホンダにとって、'06年から'17年までの12年間で1回しか優勝していないトロロッソは、同じ歩調でレースができる真のパートナーだったのだ。
過去の成績以外にも、ホンダとトロロッソには共通点があった。それは置かれていた状況だ。
ホンダは昨年、マクラーレンから三行半を突きつけられる形で提携解消を迫られ、F1活動を継続することすら危ぶまれた時期を経験している。
一方、トロロッソは昨年限りで契約が切れるルノーから、シーズン終盤に冷たい仕打ちを受けた。パワーユニットのトラブルが相次ぎ、最後の2戦は新しいパワーユニットの供給を受けることができず、中古で急場をしのいだ。
どちらも、ここ数年は不遇のシーズンが続いていた。だが、その経験によって、ホンダもトロロッソも謙虚さを身につけ、相手をリスペクトすることがいかに大切かを学ぶきっかけとなった。
「同じゴールを目指して一緒に歩んでいける関係」
ホンダの山本雅史モータースポーツ部長は、マクラーレンとの提携を解消し、トロロッソと組むことになったとき、両者の違いを次のように語った。
「マクラーレンと組んでみてわかりましたが、企業の規模が大きいと、とてもシステマチックになります。もちろん、それが大きな強みであることは間違いないのですが、同時に変化に適応していくことは難しくなります。
その点、トロロッソはまだ成長途上にある企業です。同じゴールを目指して一緒に歩んでいける関係であることが重要です。いいコミュニケーションをとりながら仕事ができることを、本当に楽しみにしています」