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真のパートナーを見つけたホンダ。
トロロッソとの絆で掴んだ4位入賞。
posted2018/04/11 17:30
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
57周のレースを終えたバーレーンGPのピットレーンで、ドライバーを胴上げするチームがあった。4位でフィニッシュしたピエール・ガスリーとトロロッソだ。
その輪の中に、普段はあまり表に出てこないホンダのスタッフの姿があった。
4位にもかかわらず、彼らが歓喜の渦の中に入っていったのには理由がある。
2015年にF1に復帰したホンダが、過去3年間で獲得した最高位は5位だった。'15年のハンガリーGP、'16年のモナコGP、そして'16年のアメリカGPだ。
いずれもフェルナンド・アロンソによるもので、元世界チャンピオンの卓越した技術によって得た5位とされ、ホンダが評価されることはなかった。また、パートナーを組んでいたマクラーレンはチャンピオンに何度も輝いた名門チーム。5位で喜びを爆発させる雰囲気などなかった。
「優勝は1回」という共通項。
ホンダにも、レースの世界では勝者以外は皆、敗者だという考えはある。だが、'08年にF1を撤退し、7年間の空白を経て復帰したホンダがいきなり優勝できるほど、F1の世界は甘くはない。なにしろ、'00年から'08年の9年間のホンダF1第3期活動でも、優勝はわずかに1回。優勝を身近な目標にすることは現実的ではなかった。
目標を見失いかけていたとき、ホンダに手を差し伸べたのが、トロロッソだった。
イタリアの弱小チームだったミナルディをレッドブルが買収し、トロロッソ(イタリア語で赤い牛)と改名してスタートしたのが'06年。過去12年間で彼らが勝利したのは、'08年のイタリアGPの1回だけだった。
しかも、このレースは雨が味方した勝利で、ドライバーものちに世界チャンピオンとなるセバスチャン・ベッテル。トロロッソが評価されることはなかった。