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「こ、この飛車…何なの?」藤井聡太の100手目に棋士が騒然「こういうの、大好きだもんね」佐々木勇気は熱心に…“TVに映らない”名人戦舞台裏
posted2025/04/29 11:06

名人戦第1局を先勝した藤井聡太名人。永瀬拓矢九段相手に見せた戦いぶりは、棋士も衝撃を受けていたようだ
text by

千田純生JUNSEI CHIDA
photograph by
NumberWeb
2日目…名人戦の舞台裏が見られることに
藤井聡太名人と永瀬拓矢九段が相まみえる、第83期名人戦第1局。椿山荘での前夜祭取材から一夜が明けて4月9日。対局1日目は配信でチェックしました。
「ふ、藤井名人の羽織、すごくカッコいいデザイン」
ファンから贈られたという「黒地に朱色のあしらい、裏には将棋駒のデザイン」という斬新な意匠に目を奪われました。その色合いを目の当たりにしてみたかったな……と思いつつ、でも2日目はどんな姿で来るんだろうと気持ちが昂ぶります。
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対局はスピーディーに進んだ上に、1日目午後に指された「78手目」まで藤井名人の研究範囲内だった、ということを後ほど知ってから衝撃を受けたわけですが――その4手後で封じ手となり、1日目は終了。終局後と大盤解説会の取材ができる2日目、再び椿山荘を訪れました。
2年前の名人戦のときは編集担当さんも「ど、どこが取材控室なんだろう??」とわかっていなかったらしく……今回リサーチしたところ、検討室と同じ部屋の一角に設けられるとのこと。えっ、立会人や副立会人のみなさんもいるっていうこと?
「そうなんですよ、名人戦の舞台裏が見られるようで自分も楽しみです。NumberWebで良くしていただいている棋士の方々も多いので、千田先生もチャンスがあればご挨拶しましょう」
A級棋士にタイトル経験者…豪華な検討室
前夜祭の日に羽生善治九段が会長として奔走されていたように、とにかく棋士、女流棋士がフル回転しているのがタイトル戦会場の現場です。緊張しないでコミュニケーションが取れるだろうか。まずは心を落ち着けるために、椿山荘名物「東京雲海」を見に行きました。
厳かな三重塔と日本庭園に広がる幻想的な風景。ああ、心が安らぐ。藤井名人も永瀬九段も相手が長考に入った際、この雲海を見て思いを馳せているのであろうか。
〈カッコつけてないで……仕事してください〉
編集担当さんの冷ややかな視線を感じたので、検討室に戻って様子をじっくりと観察してみることに。