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皆川夏穂と新体操42年ぶりの快挙。
「美しさ、優雅さ」の先にメダルが。 

text by

石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

PROFILE

photograph bySatoko Imazu

posted2018/03/12 16:30

皆川夏穂と新体操42年ぶりの快挙。「美しさ、優雅さ」の先にメダルが。<Number Web> photograph by Satoko Imazu

厳しいトレーニングに打ち込むとともに、美しさを磨く皆川夏穂。その笑顔で、世界と戦う。

1年のうち10カ月、練習は全部ロシア語。

 4年経った現在も、1年のうち10カ月間拠点を置くロシア・モスクワ郊外の練習場では、専属コーチからのマンツーマン指導を受ける。日々、宿泊施設と練習場を往復する新体操漬けの生活だ。

 練習はすべてロシア語で行われるため、言語の習得は必要不可欠だった。留学当初は、次の日の練習時間を訊くことで精一杯。練習中はまだままならない言葉のかわりに、身振り手振りで、コーチや選手たちとのコミュニケーションに努めた。

 日本で1日2種目が基本だった練習は、ロシアでは1日4種目すべてを行う。午前、午後に4種目ずつ、同じ手具を1日に2度触る日もある。

「手具をずっと触っていることが印象的でしたね。だからといって、必ずしも、練習時間が長いというわけでもないんです。午前、午後ともに3~4時間ぐらい。ノーミスの演技を1日2回行うことがノルマなんですが、ロシアの選手はすぐにできてしまう。だから3時間くらいで終わるんです。でも、私は集中力が少し足りなかったり、『これで決めよう』と余計な力が入りすぎてしまい、時間がかかってしまって」

「その基礎ではダメと度々(苦笑)」

 ロシアでは幼い頃から基本を徹底的に学ぶ。土台ができれば技の難度を上げても体がブレないからだ。コーチはまず皆川に手足や体の使い方など、新体操の基礎を一から見直させた。

「基礎はしっかり日本でやってきたという自信がありましたが、『その基礎ではダメ』と言われることが度々あって(苦笑)。正しいやり方を体に染み込ませる練習を何度も繰り返しました。特に注意されたのはひじの動き。手具を扱う時に少しでも曲がると短く見えるから、遠くまで伸ばすようにって。日本でも言われていたことだったんですが、ロシアでさらに徹底しました」

【次ページ】 難しい技を難しそうにやらない。

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