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皆川夏穂と新体操42年ぶりの快挙。
「美しさ、優雅さ」の先にメダルが。
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph bySatoko Imazu
posted2018/03/12 16:30
厳しいトレーニングに打ち込むとともに、美しさを磨く皆川夏穂。その笑顔で、世界と戦う。
難しい技を難しそうにやらない。
同じ練習場には、'16年リオデジャネイロ五輪個人総合金メダリストのマルガリタ・マムンらロシアのトップ選手たちも多数トレーニングしていた。
「彼女たちの演技は、とにかく綺麗でつい見入ってしまいます。美しい演技なのに難しい技も簡単にこなすところがすごい」
世界トップレベルの選手のメンタルの強さや、無駄のない動きを目の当たりにする日々。彼女たちと一緒にトレーニングを行ったことも大きな刺激となった。
五輪でのレベルでも決して夢ではない。
現在のモチベーションは、開幕まで3年を切った東京五輪だ。リオ五輪で『オリンピック出場』の夢を実現させた今、次に目指すのは、オリンピックで表彰台に上がることだ。少し前まで異次元レベルに感じられた五輪でのメダルも、決して夢ではなくなってきている。
「正直なところ、(リオ五輪では)オリンピックに出ているという実感があまりなかったんです。だから平常心で臨めて、4種目とも落下ミスすることなく演技ができたんだと思います。でも、予選16位で上位10人が進める決勝には残れませんでした。本当に悔しかったし、東京五輪ではという思いも強くなりました。自国開催でプレッシャーもあると思いますが、自分が持っている力をすべて出し切って、納得の演技ができるようにしたいですね」
最高の状態で2020年を迎えるために自分には何が必要なのか。自身の課題を冷静に見極めている。
「まずは全種目ノーミスで演技できるメンタルの強さ。まだ体幹も弱く、高難度の技で体がブレて減点されたり、加点がもらえる箇所でとりこぼしてしまうことがあるので強化していかないと。もちろん、さらに難しい技にも挑戦していきたいです」