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体操W杯で内村航平が予選落ち?
極端な不振の理由と“逆襲”の始まり。
posted2018/03/28 11:30
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Kyodo News
体操の種目別ワールドカップ(W杯)カタール・ドーハ大会が3月21日から24日まで行なわれ、内村航平(29=リンガーハット)が、左足首負傷で途中棄権となった昨年10月の世界選手権(カナダ・モントリオール)以来、約半年ぶりに実戦に復帰した。
結果からいうと内村は、出場したあん馬、つり輪、跳馬、鉄棒の4種目すべてで予選落ちし、各種目の上位8選手で争う決勝に進むことができなかった。
「何をしに来たんだろう。ここまで来ると、もう笑うしかない」
予想外の成績に、試合直後のミックスゾーンでは困惑した様子を隠しきれなかった。
「開き直りたくても開き直れないというか。なんか分からないですね」
その言葉からは、気持ちの整理がついていない様子もうかがえた。
今季の世界選手権は、10月下旬から11月上旬まで今回のW杯と同じ会場で開催される予定。
日本代表の1次選考会となる全日本個人総合選手権(東京体育館)は4月27日に開幕。
内村にとっては国内11連覇も懸かる、非常に大事な大会となっている。あと1カ月という時間で、本来のパフォーマンスを取り戻すことはできるのだろうか。
今までなら絶対に落ちない箇所での落下。
先のことを占う前に、まずは今回のW杯での演技を検証したい。
初日に行なわれたあん馬では、得意としている下向きの旋回で落下して13.233点という結果だった。
今までなら絶対に落ちないような箇所での落下だ。
だが、これに関しては、久しぶりの試合だったことが原因と言えるだろう。予選ということで観客がまばらだったことも、集中力の欠如につながったものと見られる。
「気持ちが上がらないまま、試合に臨んでしまった。佐藤(寛朗)コーチには『わざと落ちたでしょ』と言われました」(内村)と、苦笑いしていた。